2020年6月30日、改正道路交通法が施行されました。
今回は「自転車」に焦点を絞って語ります。
【道路交通法にはいくつも不備や反故がある悪法】
道路交通法などの交通利用に関しては、いくつも改善点、改革点があると思われます。
今後折に触れてその問題に触れていきたいが、今回は「自転車」に関することに絞って強く抗議したいことがある。
【道路交通法改正で自転車も厳罰化】
《自転車のあおり運転厳罰化規定の背景》
背景はさまざまな理由があるが、コロナショックで急増した出前自転車の迷惑運転が目立つこと、昨年埼玉県で摘発された「桶川のひょっこりはん事件」などがあると思われる。
まあ~以前からずっと自転車のモラル、マナーが問われていたから、ようやくか~と言ったところだろう。
(「桶川のひょっこりはん事件」とは、自転車に乗った状態で走行中の自動車に突っ込むふりをして、自動車の走行を故意に邪魔した事件のこと)
《自転車のあおり運転が新たに規定》
今回の改正道交法で特徴的であり、同時に注意が必要なのが「自転車の妨害運転」を新たに規定したことだ。
世間の自転車を利用する人は今後注意が必要でありんす。
要するに、道交法違反の「あおり運転」は自動車だけではなく「自転車」にも適用される、ということです。
改正道交法は、
「自転車によるあおり運転は道交法で禁止する危険な運転のひとつ」
に追加されたのです。
《自転車の道交法の位置づけは?》
道交法では自転車を「軽車両」と位置づけています。
そのため、自転車を運転するときは「車両としての交通ルール」を遵守する必要があるとされています。
【これまであった自転車の危険運転(14項目)】
1.「信号無視」
2.「酒酔い運転」
3.「遮断踏切への立ち入り」
(遮断機が下りている時や、警報機が鳴っている時に踏み切りに進入してはならない)
4.「歩道における車両義務違反(徐行違反)」
(道路標識などで通行可とされている歩道でも、歩行者に注意を払い、徐行して通行しなければならない)
5.「歩道通行時の通行方法違反」
(道路標識で通行可とされている歩道は、徐行しなければならない。自転車通行指定がない歩道は、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行して進行しなければならない。歩行者の通行の妨げとなる場合、一時停止しなければならない)
6.「制動装置不良自転車運転」
7.「指定場所一時不停止等」
8.「路側帯通行時の歩行者の通行妨害」
(路側帯を通行するときは、歩行者の妨げにならないような速度で進行しなければならない)
9.「通行禁止違反」
10.「通行区分違反」
11.「交差点安全進行義務違反」
(交差点への進入時は、優先道路を走行する車両や、幅が明らかに広い道路を進行する車両の進行を妨害してはならない。交差点進入時や交差点通行時は、横断する歩行者に注意を払い、安全な速度で進行しなければならない)
12.「交差点優先者妨害等」
(交差点を右折するときに、直進車や左折車の進行を妨害してはならない)
13.「環状交差点安全進行義務違反等」
(環状交差点内を通行する車両の進行を妨害してはならない。また、環状交差点に進入する際は徐行しなければならない)
14.「安全運転義務違反」
(自転車の運転者は、ハンドルやブレーキなどを確実に操作し、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。スマホや傘を差しながらの「片手運転」が該当する)
【自転車のあおり運転とは? 7つの危険運転】
上記の以前からあった14の自転車による危険運転に追加する法律として、「自転車のあおり運転(危険運転)」が施行されたのです。
つまり、15項目目として「妨害運転」が加わったのです。
ですから追加された「妨害運転」を含めた15項目すべてが処罰の対象となるのです。(自転車の)
15項目目の自転車の「妨害運転(あおり運転)」とは、車やバイク、他の自転車を妨害しようとする7つの行為のことです。
《自転車の妨害運転とは》
1.「走行する自動車などの前方で急に進路変更する行為(急な割り込み)」
2.「不必要な急ブレーキ(車などの前方で)」
3.「逆走(右側通行)」
4.「短すぎる車間距離(異常な接近)」
5.「幅寄せ(並走する車に恐怖を感じさせる行為)」
6.「反対車線からはみ出す追い越し」
7.「ベルを執拗に鳴らす行為」
《自転車がこれらの道交法に違反した場合の処罰は?》
上記の妨害行為をした場合の処罰は?
14歳以上が3年間で2回以上摘発されると有料講習の受講が義務付けられる。
従わない場合は、5万円以下の罰金が科される。
行政処分を命じるのは公安委員会で、受講命令書が交付され、指定された場所にて安全講習を受講することになる。
(東京都の場合は受講時間が3時間、受講手数料は6,000円となるようです)
《違反のポイント》
これらに共通し重要なのが「故意に」というところです。
意図的に妨害をしようとした場合に、危険行為とみなされ、自転車であっても「妨害運転(あおり運転)」となるということです。
《その他の危険行為(運転)》
スマホ(携帯)を操作、使用しながらの運転は、重大な交通事故につながる極めて危険な行為であると注意喚起しています。
「ながらスマホ」は危険運転の「安全運転義務違反」に該当し、摘発の対象となります。
【自転車安全利用5則】
自転車が守るべき交通ルールのうち特に重要なものを「自転車安全利用5則」としています。
1.「自転車は車道が原則、歩道は例外」
(道路交通法上、自転車は軽車両と位置付けられており、車道と歩道の区別があるところでは車道通行が原則。自転車道がある場合は、自転車道を通行しなければならない)
2.「車道は左側を通行」
3.「歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行」
(歩道を通行する場合は、車道よりの部分を徐行しなければならない。歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければならない)
4.「安全ルールを守る」
(飲酒運転、二人乗り、並進の禁止など)
5.「子供はヘルメット着用」
【ニュースキャスター安藤優子氏が苦言!】
フジテレビ「直撃LIVE グッディ!」に出演しているニュースキャスターの安藤優子氏が、改正道交法が施行された6月30日の放送で苦言を述べた。
安藤氏はこんなコメント(苦言)を吐いた。(自転車の危険運転について)
「道の辻々(つじつじ)、角々に警官が立ってなかったら、こんなの取り締まれないですよね?」
「怖い目にあった人たちが通報しても、自転車はもう過ぎ去ってしまうわけじゃないですか。それについてどこまで捜査ってやってくれるのか、自転車の特徴を警官に伝えたところで、どうやって探すんですか?って話になっちゃうわけじゃないですか。街角の防犯カメラで見つけるっていうことになるんですかね?」
「自転車に乗る人が安全に走れる自転車走行レーンみたいなのをちゃんと整備してあげないと、じゃあどこ走るんだよってことになっちゃいますよね」
まさに、その通りでありんす!
たてまえだけの法の施行はいい加減にしてほしい!
【道交法とマナーを守らない自転車利用者が急増】
自動車の場合と同じように自転車に乗っている人が“故意に妨害運転をしたかどうか”をどう立証するのか? という問題が潜んでいる。
これは自動車の記事で示したので今回は深入りしない。
ただ、いままでの慣習のまま普通に自転車を乗っていると無意識に「改正道交法の危険行為」に該当する行為をしてしまう可能性が極めて高いということです。
ですが、そこに危険な行為が多く存在するのも事実なので、自転車の危険運転を取り締まること自体をアチキは反対しない。
むしろ、必要だと以前から思っていた。
地方では感じないだろうが、都内だと自転車は王様のように街中を走り回っている。
法などない、マナーなど知らない、といった印象を持つ自転車が目立っているのも事実だ。
タクシードライバーに聞けば、99%こう言うだろう。
「自転車は危ない!」
都内の交通量の多い道路でも逆走する、信号を無視する、急に飛び出す、など我が物顔で走っていると、自動車を運転する方からは見えているのだ。
【自転車の改正道交法の問題点は?】
《自転車の危険運転の摘発》
ニュースキャスターの安藤氏が指摘するように、どうやって自転車の妨害運転を摘発するのか?
ということがあまりにも非現実的である。
都内では、警官が常時ネズミ取りや取り締まりを行っている。また、交番も多い。
だから、比較的自転車の危険運転(妨害運転)を現認したりすることはあるだろう。
だが、すべてを監視できるのか?
といったら絶対に無理だ。
それと、自転車の妨害運転(あおり運転)をされたと通報されてもどうやってその自転車を特定(立証)するのか?
仮にドライブレコーダーの映像が残っていても、ナンバーのない自転車を特定するのは至難の業だ。
捜査するとなると、かなり時間がかかる。
また、自転車の妨害運転が法整備されたからと多くのドライバーから通報が殺到したら、それらすべてを捜査できる人的、時間的な資源はあるのか?
現実的に無理ではないかと思われる?
だとすると、法律だけ作りましたよ、でも実際は摘発することはなかなかできません、という実に無責任なことになる。
自転車にもナンバープレートをつけてはどうかという話もあるが、非現実的であり、ある意味で自由を奪うことに繋がる。
法の整備とは、施行しておしまいではない。
法律を立法、施行したならば、まず告知をし、法の運用(適用)、違反時の処罰(逮捕など)の体制のすべてにおいて完結することが必要となる。
それが整わないのならば、それこそ「机上の法律」である。
実際に施行された法律によって違反者を随時摘発しなければ、法を施行した意味は半減する。
六法全書に載っているだけで、ほとんど運用されないことにもなるなら意味はない。
《対象者は14歳以上》
自転車の危険運転の対象年齢をなぜ14歳以上としたのか、その理由が分からない。
都内では中学生が自転車通学することは少ないのかもしれないが、少し地方に行けば中学校から自転車通学をすることがほとんどだ。
だとすると、13歳以上または中学生以上を対象とするべきではないか?
対象年齢が14歳以上という点が納得いかない。
《自転車はどこを通ればいいのか?》
アチキは、実はこれを言いたくてこの記事を書いた、と言ってもいいくらい、このことに関して憤慨しているのだ。
これが自転車に関する最大の問題点だ。
要するに、「自転車はいったいどこを走ればいいのか?」ということが法律と現実とがあまりにもかけ離れているのだ。
この記事を読んでいる人に聞きます。
「あなたは自転車に乗ったとき、どこを通りますか? 歩道ですか? 車道ですか?」
また、
「あなたは自転車に乗ったとき、どこを通った方が安全ですか? 安心して走れますか?」
問題点を具体的に言うと、自転車の危険運転(14項目)と「自転車安全利用5則」の項目に矛盾がみられるのです。
「自転車の危険運転(14項目)」では、
「歩道における車両義務違反(徐行違反)」と「歩道通行時の通行方法違反」で、道路標識などで通行可とされている歩道であれば、徐行して通行していい、となっています。
しかし、「自転車安全利用5則」では、
「自転車は車道が原則、歩道は例外」と、車道と歩道の区別があるところでは車道通行が原則と定めている。(自転車道がある場合は、自転車道を通行しなければならない)
道路標識の“有る無し”をきちんと見ている人がどれだけいますか?
現状では非常に分からないことだ。
そして、その区別は意味がない。
要するに、自転車利用者からすると
「自転車はどこを走ればいいんだ~!」
となるのです!
どこを自転車が通行すべきなのかが非常に分かりにくいのです。
政治家、官僚、警察官たちに聞く!
車道を走っている自転車がどれだけいるか?
分からないなら市中にでて、よく見てみるがいい!
《自転車利用者、歩行者、自動車の3者の総合観点から判断する》
自転車利用者が走行するときに安全であること。
自転車の走行が歩道を歩く歩行者と車道を走行する自動車の邪魔をしないこと。
この3者の総合した観点から考えると、
「自転車は原則として歩道を走行すべき。自転車専用道路がある場合は、自転車専用道路を走行してもよい」
(ただし、歩道を走行するときは歩行者優先となる)
とするべきです。
そもそも歩道という概念がおかしい。
そこにあるのは、「歩道は歩行者のみの道路」という考えだ。
「車道は自動車が走る道路」では、自転車は?
そう、自転車はコウモリのようなどっちつかずの位置に置かれているのだ。
では自転車がみんな車道を走ったとしたらどうなるか?
自動車を運転する側からすれば、「危なくてまともに走れない」となる。
それは自転車と自動車の事故の可能性を非常に高めるということを意味している。
原則、自転車は車道を走らなければならないならば、自動車の走行を邪魔することになり、自転車利用者にとっても危険が増すことになる。
それは道路の幅が一定ではないからだ。
国道などの道路では道幅に余裕がある。
だが、県道などの道は少し道幅が狭い。
そうした道路では、トラックなどは道幅ギリギリで走っている。
そこを自転車が車道を常に走行していたら、対向車がある場合、トラックは自転車との接触事故をさけるために自転車を追い抜けない。
つまり、自転車の後をのろのろ運転するか、対向車がいなくなるまで待って追い抜くしかないのだ。
それが現実の交通事情だ。
この交通事情を無視しているのが道交法の自転車の法なのだ。
自動車を運転しているひとに聞いてみたらいい。
「車道を自転車が常に走っていたらどう思うか?」
また、自転車利用者に聞いてみたらいい。
「歩道と車道のどちらが安全に走れるか?」
答えは決まり切っている。
立法府の国会議員たちは自転車を利用しないのだろうか?
自動車を乗るときも、自分で運転しないでドライバー任せなのだろう。
だから、自転車に関する法律がめちゃくちゃなのだろう。
まとめると、歩行者、自転車、自動車の3者を総合すると、
「自転車は歩道がある場合は、歩行者の邪魔にならないように歩道を走行すること」
とするべきだと思うのだ。
また、「自転車の種別」と「自転車に関するスピード違反の法律」も必要だと思う。
自動車には、種類がさまざまに存在する。
なのに、軽車両とされる自転車には種別がないのはどうしてか?
ママチャリと呼ばれる自転車とロードレースに使用する自転車とでは、明らかに性能の違いがある。
それを同じ自転車とするのはどうかと思う。
また、軽車両ならばスピード違反に関する法もあっていいだろう。
例えば「自転車が歩道を走行する場合は、25キロ以下の速度で走行しなければならない」
また「自転車が車道を走行する場合は、35キロ以下の速度で走行しなければならない」
とすることで、自転車の危険運転を制御することができるはず。
(速度に関しては専門的に分析して決めるべき。ここでは案として速度をしめした)
自転車が車道を走るなど、危険でしかたがない。
自転車に関する法律と規定(原則など)を厳密に守ったとしたら、自転車の事故は急増してしまうだろう。
自転車に関する法律は、矛盾、いい加減、安全を考えていない、現実の交通事情を考えていない、自転車の利用者の意見を訊いていない、自動車を運転している人の気持ちをまったく考えていない、といえるのだ。
【危険を増長させる自転車に関する法律】
実際の交通事情では、自転車は歩道があるところでは歩道を走行している。
だが法の建前は、
自転車は車道の左側を走るもの。
歩道は歩行者のもの。
自動車はもちろん車道を走る。
これ守られていないですよね?
なぜ、多くの自転車利用者が歩道を走行すると思うか?
答えは簡単だ。
車道を走ると自転車にとって危険だからだ。
また、車道を自転車が走ると自動車側も危険を感じるからだ。
歩道は歩行者のものだ、自転車が通る道ではない、という意見があるだろう。
歩行者は歩道を自転車が走ると危ないと言い、自動車側は自転車が車道を走るとこれまた危ないという。
では、免許もなく身近な乗り物である自転車はどこを走ったらいいのか?
道交法は実情にあっていない!
そもそも歩道は歩行者のみの道路とする認識が間違いだ。
歩行者と自転車がお互いに危険を避けながら、共有して利用することが現状にあっているとアチキは思う。
最後までお読みいただき、ありがとうござりんした!