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『新疆ウイグル自治区はウイグル人に対する最先端監視システム(AI)の実験場 【前編】 ~ウイグル人の運命を変えたのは習近平国家主席~』

監視、盗聴、個人情報の搾取が公然と行われる新疆ウイグル自治区

《ウイグル人の10人に1人が強制収容所に入れられている》

どこにいても盗聴される。
あなたが外出すると、そのすべてを見られている(監視されている)。
あなたが姿を消してもニュースにならない。

あなたはそんな生活に耐えられますか?
そんな国に住みたいですか?

生活のすべてを監視され、人権を奪われ、場合によってはある日突然連行されて強制収容所に入れられる。
いつ出られるかも、どうして入れられたのかもわからない。
そんなことに耐えられますか?

日本の人たちのなかで、2017年、中国の西部で突然の行方不明者が相次いだことを知っている人がどれだけいるでしょうか?

推計では、新疆ウイグル自治区強制収容所に入れられている人の数は100万人以上と見られています。(中国共産党政府は、再教育施設と呼んでいる)
100万人という数は、新疆ウイグル自治区のウイグル人の約1割にあたります。
つまり、10人に1人が強制収容所に入れられているということです。

これは驚異的に多い人数です。
この比率を日本に当てはめると、1000万人以上という数字になります。
(総務省の発表によると、2020年の日本の人口は、1億2713万8033人)
人口20万人の都市なら、2万人ということになります。
1000人が通う学校ならば、100人ということになります。
1/10という比率はとてつもなく高い数字です。
人類史上あり得ないことです!

《超最先端の監視システムが人間を家畜のように管理している》

新疆ウイグル自治区に設置されている最先端の監視カメラの数は尋常ではありません。
路上に設置された監視カメラには死角はほぼありません。
あらゆる角度から、行き交う人たちを監視できる状態となっています。
小さな小道まで監視カメラは設置され、人々の行動のあらゆる情報を収集され、分析されています。
つまり、常に見られているのです。
それはプライバシーが存在しないのと同じことです。

監視カメラは、単なる通行人として認識するのではなく、顔認識機能で個人を特定し、表情までも読み取るからです。
これじゃ~、「おら、こんな町でるだ~」と言いたいところですが、ウイグル人には居住移転の自由さえないのです。

《海外との会話は盗聴される》

海外の携帯電話から中国に電話すると盗聴されます。
中国では、特定の単語に反応する監視システムが存在します。
特定の単語とは、「中国政府を批判する言葉」「共産主義を否定したり批判したりする言葉」「改革や革命」「独立」などです。

これは新疆ウイグル自治区を外国からシャットダウンして、海外に情報を漏らさないため、あるいは海外の勢力と結託することを監視するためです。

《宗教弾圧》

イスラム教徒の家には識別コードがあります。
イスラム教徒の人が住む自宅の門には、バーコードが貼りつけられています。
それはまるで家畜を管理するために家畜にタグをつけているかのようです。
警官はときおりやってきてバーコードをスキャンして監視を続けます。
もはや人権がどうのこうのいうレベルではありません。

「ウイグル人には人権がない」というのが中国共産党政府の隠している本音

2020年2月の時点で欧米を中心とした先進諸国は、中国のウイグル人への虐殺(ジェノサイド)などの非人道的な政策に怒りの声をあげています。
彼らは「ウイグル人への人権侵害である」と強く抗議しています。

しかし、中国政府は公式には「人権侵害はない。法治国家として統治されている」などと、子どもでもすぐに見破れる大嘘をついています。
その裏ではこう考えているのです。

「もともとウイグル人には人権はない。だから『侵害』はない」
それが中国共産党政府の本音です。

彼らはそうした考えを本気で思っているのです。
ヒトラー率いるナチスがユダヤ人にしたことと同じです。
いや、規模においてユダヤ人虐殺を遥かに超えています。

トランプ政権の最後にパウエル国務長官が出した声明で「中国がウイグル人に行っていることはジェノサイドだ」と認定しました。
バイデン大統領となってからも、公式にはその見解を引き継いでいます。

中国には、まったくベクトルが逆の論理が表裏一体となって存在しています。
表では(表面上は)、国際社会の常識に従っているようにしていますが、その裏では昔ながらの中国式の統治システムを行なっているのです。
中国という国家は、秦の時代、漢の時代などの古い時代から変わっていないのです。
国家主席が現代の「皇帝」であり、中国共産党政府が「皇帝の王朝政府」なのです。
中国人民共和国という国家は、いまだに近代化していないのです。

ウイグル人の運命を大きく変えたのは習近平国家主席

《ウルムチの事件(2009年ウイグル騒乱事件)》

「ウルムチの事件(正確には2009ウイグル騒動事件)」とは、2009年7月5日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市において発生した騒乱事件のこと。

広東省の工場でデマを発端として、玩具工場に勤めるウイグル人が中国人に襲撃され多数の殺傷者が出た。(2名のウイグル人が殺された)
だが、襲撃した中国人の刑事処分が曖昧にされたことで不満が高まり大規模な抗議活動に発展した。
抗議活動はやがて大規模な暴動に拡大
暴動が起きたことによって、およそ200人が死亡。
その多くが中国人(漢民族)でした。
これによってウイグル人は、中国政府によって数千人が拘束されてしまいます。

ウイグル問題の転換点が「ウルムチ事件(2009年ウイグル騒乱事件)」なのです。

《ウルムチは最先端監視システムの実験場》

新疆ウイグル自治区の面積は中国の他の省や自治区の中で最も大きい面積を持っています。人口は2200万人以上で、その半数がウイグル人で次に多いのが漢民族です。
中心都市はウルムチ。
このウルムチは最先端監視システムの実験場となっています。

それを証明するのがいたるところに無数にある監視カメラと各交差点にある交番の数の多さです。(200メートル間隔ほどに交番がある)
この数年で数千もの交番が設置されたのです。
また、街中には検問所が設置されています。
検問所では、漢民族の人たちは自由にゲートを通過することができますが、ウイグル人はそうはいきません。
ウイグル人は、IDカードや所持品を機械に通すことが義務付けられています。
つまり、常にあらゆる場所ですべてのウイグル人が監視されて、異常があればすぐに警察が出動できる体制となっているのです。

ウイグルでは、警察は常にウイグル人を疑いの目で見ています。
荷物検査や質問に従順に応じないとすぐに拘束してしまいます。
そこには法的手続きや法的根拠などありません。

中国政府は、長年に渡って新疆ウイグル自治区への漢民族の移住を奨励してきました。
それこそ新疆ウイグル自治区というウイグル人の土地を中国人が乗っ取る方法です。

《ウイグル人の運命を変えたのは習近平国家主席》

ウイグル人の運命が大きく変ったのは2012年習近平氏が国家主席についたことがきっかけでした。
(現在、国家主席の任期(期限)は撤廃されて、無期限の就任が可能になっています)

2012年に誕生した習近平政権は、言論統制を強化しました。
それによって中国国内で、人民が政府批判を口にすることが難しくなりました。

2014年、国家主席となった習近平氏は初めて新疆ウイグル自治区を視察しました。
しかし、視察を終えてウルムチを立った当日に、爆発事件が起きました。
数週間後に起きた爆発事件と合わせると数十名が死亡する事件となりました。
死者、負傷者の多くが漢民族でした。
このときの爆発事件を習近平氏は自分自身への攻撃だと思ったのです。
だから、ウイグル人を野放しにできない、対処が必要だと考えたのです。

この前年の2013年にも北京などの爆発事件でウイグル人が関わったとされる事件が発生しています。
(ただし、それが本当にウイグル人によって起こしたものなのかは不明。中国のやり方は自分で火をつけておいて無実の人に罪を着せることが日常茶飯事だからです)

このときに中国共産党政府は声明をだし、「分離独立を目指す勢力の犯行だ」と発表しています。(正確には、ウイグル独立派組織東トルキスタンイスラム運動(ETIM)の関与を疑っている)
これは真実の発表というよりも、こうしたことを中国共産党政府に都合の良いように解釈して利用した、と見る方が正しいでしょう。

暴力行為を行ったのはウイグル人の中のほんの一握りの人たちです。(本当だとしたら)
ですが、習近平政権はそれを個別に罰するのではなく、ウイグル人全体を弾圧することにしたのです。
習近平国家主席は、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒をテロリスト予備軍として扱うことを決めます。
個別に対応するのではなく、全体の責任としてしまうのが独裁主義のやり方です。

2016年、習近平国家はウイグル問題を解決するための人事を行います。
チベット自治区で辣腕をふるった人物(陳全国)をウイグル自治区に送り込んだのです。
陳全国書記は、ウイグル人への締め付けを強化しました。
要するに、「弾圧のエキスパート」を送り込んだ、ということです。

中国共産党政府のウイグル人へのやり方は点数によって管理します。
安全な人物と見られれば100点。
そこから問題があるたびに点数を引いていく(条件によって10点ずつ引いていく)。

問題(条件)とは?
「ウイグル族である」
「15歳から55歳である」
「イスラム教の知識がある」
「日常的に祈りの習慣がある」
「外国に親族がいる」
「パスポートを持っている」
など。

これらの条件は多くのウイグル人に当てはまります。
それに気づいた中国共産党政府は、あわてて強制収容施設を建設し始めたのです。
(建設当初、中国共産党政府は強制収容施設の存在を認めませんでした)
月日が経つごとに施設は拡大を続けていきます。
しかし、グーグルアースなどの衛星画像によって隠したてができなくなったのです。

鉄格子と金網だらけの建物に強制的に収容される。
宿舎の室内には回転式の監視カメラが5台もあって常時監視されている。
2分以上トイレにいると棒で頭を殴られる。
固い椅子に24時間座らされる(水を飲めるのは1度だけ、排泄もその場でさせられる)。
暴力を振るわれ、怒鳴られる。
女性ならば性的暴行をされる。
追い詰められて自殺を図った若い人もいます。
考えることは、ただ解放される日のこと、それだけしか考えられずゾンビのように生きる。

あなたはこんな状況に耐えられますか?
これが新疆ウイグル自治区の強制収容所に入れられた人たちが置かれている状況なのです。

ウイグル人の運命は、習近平国家主席によって民族的悲劇に変えられてしまったのです。

『新疆ウイグル自治区はウイグル人に対する最先端監視システム(AI)の実験場 【後編】』に続く。

最後までお読みくださり、ありがとうござりんした。

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