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『ビッグ・ファーマ、薬品ビジネスの裏側とは?【前編】 ~製薬会社の行動原理とは?~』

はじめに

今回はフランスが制作した『ビッグ・ファーマ製薬ビジネスの裏側』という番組を主な題材として、巨大な企業体=ビッグ・ファーマ(製薬会社)の問題点を探っていきたいと思います。
ビッグ・ファーマ(世界規模の製薬会社)は、全世界の人によって欠かすことのできない存在です。ですが同時に決して見過ごせない命と健康に関係する大問題も潜んでいます。
それに焦点を向けるべき既存のメディアは、役立たずの状態です。
なぜなら、製薬会社とメディアは持ちつ持たれつの関係だからです。

今回の主な製薬会社の事情はヨーロッパおよびアメリカですが、この問題を現在進行形で進んでいる新型コロナ感染症の問題及びワクチン接種の問題に置き換えて読んでみてください。
そこが今回の記事のポイントです。
その解釈は読者にお任せいたします。

(情報源は、「フランスが2020年に制作した『ビッグ・ファーマ製薬ビジネスの裏側』」)

製薬会社は儲け中心のシステムで動いている?

《製薬会社を動かす力とは何か?》

現代の製薬会社は完全に儲け中心(利益第一主義)のシステムで動いていると言えます。
ビッグ・ファーマが巨大な権力と富を得ていることは紛れもない事実です。
巨大な製薬会社は、いまや世界各国の政策に大きな影響を及ぼしています。

このような意見があります。

「この業界は、国家にも匹敵する力を持っています」

「製薬業界の財力と権力は絶大で、アメリカ議会や食品医薬品局(FDA)へのロビー活動は強力です」

「新しいアイディアの実現に製薬会社の協力は欠かせませんが、法外な値段をつけるやり方はまったく容認できません」

「製薬会社の最大の関心ごとは利益なのです。患者よりも株主優先です」

極めて冷酷なビジネスモデルです。お金がなければ薬を使えません」

《製薬会社は誰のために存在する?》

製薬会社は研究開発で公的資金の恩恵を受ける一方で非常に高価な薬を売り込みます。

マラリア、HIVなどの感染者に使用される治療薬『ダラプリム』は、WHOが“必須医薬品”に指定しています。

医療分野に投資するヘッジファンドを経営していたマーティン・シュクレリ氏は、ダラプリムのアメリカ国内の販売権を買い取り、価格を13ドル50セントから750ドルに引き上げました。
実に50倍を超える値上げです。
もし、これが食品だったらどうでしょうか?
50倍の値段に跳ね上がった食品を購入するでしょうか?
もし、自動車が今の50倍の値段になったとしたら、自動車販売は大きく落ち込み、自動車製造会社は倒産するのではないでしょうか?
しかし、医薬品だとあり得る?
なぜでしょうか?

マーティン・シュクレリ氏はインタビューに以下のような回答をしています。

「高くても需要は落ちない。値上げして出資者への還元を増やすのが私の義務です」
「資本主義社会ですから、資本主義の論理で動きます」
「私の役割は利益の最大化です」

ここにある問題点とは、マーティン・シュクレリ氏の主張は倫理的には問題でもアメリカの法律には抵触しないということです。
高額な医薬品の問題を調査するためアメリカ下院委員会がシュクレリ氏に証言を求めました。

Q
「独身で妊娠中の女性がいます。エイズの恐れがあり、収入もない。生きるためにダラプリムが必要です。あなたはこの女性にどう説明するのですか?」


「憲法修正第5条で規定された権利を行使し、回答を控えます」


「最後は税金から一部が支払われることになります。笑っていますが非常に深刻な問題ですよ」


無言。

シュクレリ氏はこう呼ばれています。
「アメリカで最も嫌われる男」

こうしたやり取りがあっても、結局、ダラプリムがもとの価格に戻ることはありませんでした。
このシュクレリ氏の特徴は彼だけのものではなく、医薬品業界全体の体質と見るべきでしょう。
つまり、治療に必要な薬でもお金がなければ治療できないということになります。

すると、こう言わざるを得ません。

「製薬会社は、お金のある治療が必要な患者しか相手にしないのか?」と。
「治療に必要な薬を手に入れられない人のことをどう考えているのか?」と。

《製薬会社の劇的な変化》

この10年で製薬会社は劇的な変化を遂げました。
いまや大部分の薬の製造を一握りの大手製薬会社が担っています。
世界の上位5社に名を連ねるスイスのノバルティス(NOVARTIS)の年間売上高は約450億ドル。
ガンや希少疾患への効果が期待できる薬の特許を複数取得しています。

スイスのロシュ(Roche)も上位5社の一つ。
これまでに競合する25の治療薬の権利を買い取りました。

フランスを拠点としているサノフィ(SANOFI)もヨーロッパと北米で多数の製薬会社を買収、年間400億ドルの売上をあげています。

いま製薬会社に起きていることは「買収」による巨大化なのです。
このように買収により巨大化した世界的な製薬会社を「ビッグ・ファーマ」と呼び、世界の医薬品市場を支配しているのです。

問題は、複数のビッグ・ファーマが特定の医薬品の独占的地位を確保するため、臨床試験で問題が起きても当局に適切な報告を行わないことがあることです。
そうした経緯で市場にでた薬を服用した患者が副作用に苦しんでいるケースがあるのです。
(なにかのケースに似ていませんか?)

テンカンの治療薬『デパキン』の問題

《テンカンの治療薬『デパキン』の問題とは?》

テンカンの治療薬『デパキン』でも問題が発覚しています。
デパキンはここ半世紀で最も流通した薬の一つです。
製造したのはフランスの大手製薬会社サノフィ。
妊婦が服用すると胎児に深刻な影響が出る恐れがあるとわかり、ヨーロッパで大きな問題になりました。

妊娠中にデパキンを服用したある女性の子どもは、生殖器に先天的な異常、言葉の発達やコミュニケーションの異常が見られました。
この女性は、デパキンの副作用を徹底的に調べ、最終的にサノフィを告訴したのです。
現在、フランスとスイスでサノフィを相手とした個人及び集団の訴訟が複数進行しているといいます。
サノフィは、過失傷害の疑いで捜査の対象となりました。
(2020年時点で)

デパキンの発売は1967年で、ヨーロッパでは数万人の子どもに心身の障害が起きているようです。
2003年のサノフィの社内文書から1970年代にはデパキンのリスクをある程度把握していたことが判明しています。
つまり、デパキンの問題が表にでるまでに30年以上の時間がかかった、ということ。
このときのサノフィの言い分は「リスクはわずかだと思っていた」というもの。
「わずか?」
「わずか」なら患者に伝えなくても良いということでしょうか?
それは製薬会社の自己弁護の言い分でしかありません。

サノフィ社は世界100カ国に拠点を持ち、スローガンは「エンパワリング(人々の人生を支える)」。
???
デパキンが胎児に与える影響を示すデータは増えていきましたが、警告の表示が実現するまでに11年の年月が経過してしまいました。
2015年、サノフィ社がフランスの規制当局と合意に達し「注意書きを改訂」しました。
妊娠中の女性が服用するとリスクがあることをはっきりと記したのです。
薬の発売からおよそ50年後のことになります。
現在では、サノフィ社は複数の言語で明確に注意を促しています。

その注意書きとは?

「妊娠中のデパキンの服用は胎児に重大な影響を及ぼす恐れがあります。最大30~40%に重度の知的、及び身体的障害を引き起こす危険性、奇形を生ずるおそれは、およそ10%」

いまではこうした注意書き(警告のマーク)はヨーロッパ全体に見られるようになりました。EUに医薬品庁がデパキンと類似するすべての薬に表示を義務付けたからです。

いまでは注意書き(副作用による被害)がなされましたが、それはいままで薬の副作用に問題がなかったわけではありません。注意書きが表示される前から妊婦の服用には問題があったのです。
では、数十年に及ぶ副作用の被害は誰が責任を取るのでしょうか?
結局、服用した方の“泣き寝入り”でしょうか?

「製薬会社の力は絶大です」
そう語るのはデパキンによる被害者側の弁護士シャルル・ジョセフウダン氏です。
製薬会社は、たとえ薬品被害が起きても、自分たちが太刀打ちできないと思い込ませます。

デパキンの事例では、製薬会社がある程度リスクを把握していても、それを市場(患者)に伝えないという行動原理があることが読み取れます。
これはその治療薬が生きるために必要な患者からずれば、非常に怖いことです。
患者は薬品=製薬会社を信用して、薬の投与、服用などを行います。
それが後から「実はリスクがありました・・・」というのでは遅いのです。
どんなに微小なリスクでも使用する患者には知らせなければなりません。
知らせない理由は、その治療薬が使用されづらくなる=売上が減ることを危惧しているからです。
そこには「患者の治療第一とする医療倫理」が欠落しています。
医療倫理よりも利益を優先しているのです。

《デパキン問題から学ぶ重大な教訓とは?》

デパキン問題から学ぶ重大な教訓は、デパキンの服用で胎児に障害等が起きることをある女性たちが訴訟を起こして戦ったことで、結果的にデパキンに「注意書き」がなされるようになった、ということです。
つまり、そうした薬の副作用による被害を訴える人がいなかったとしたならば、いまだに注意喚起されず被害が出続けていたかもしれないのです。

これって、いま起きている“何か”に似ていませんか?
そう、コロナワクチン接種による被害です。

重要なことは、製薬会社は販売する薬品に欠陥があると知っていても、それだけでは動かないということが非常に多い、ということです。

政府機関が指導する、被害者たちが訴えを起こす、こうしたことがない限り、シラを切り続けて問題のある薬品を販売し続ける傾向性がある、ということです。
なぜなら、製薬会社は利益最優先の体質を持っているからです。
患者の命と健康は2番目なのです。
1番は利益なのです。
(これは、まったく患者のことを考えていないという意味ではなく、患者の治療よりも利益の方を優先しているという意味)
つまり、病気によって苦しみ、薬品等に頼るしかない人たちをある意味で利用して利益を上げようとする意図があるということです。
医療行為という倫理よりも、ビジネスという側面を強調した弊害といえるでしょう。

加齢黄斑変性における問題

《加齢黄斑変性の問題とは?》

ビッグ・ファーマが求めているのは「ブロックバスター」

ブロックバスターとは、画期的な薬効を持つ新薬のこと。
その対応疾患領域で発売されている他製品と比べ圧倒的な売上をあげる製品のこと。
通常、年商10億ドル以上(約1100億円)の製品を指す。

別な言い方をすると、世界中に多くの患者がいて巨大な市場が見込める画期的な新薬です。
ビッグ・ファーマ(製薬会社)は独占権を守るために巧みな戦略を生み出しています。
なぜ、新薬なのかというと既存の薬品では、独占権が得られないからです。

ブロックバスターの問題で注目するべきは、それが「新薬」であることです。
既存の製品(薬)ではないことです。
ここが重要なのです。

「加齢黄斑変性」という目の病気の治療薬を巡りさまざまなことが起きています。
加齢黄斑変性は、視力が大幅に低下し、失明にいたることもある病気で、しかも世界中に患者がいます。
2005年までは効果的な治療薬が無く、大勢の患者が視力を失いました。

加齢黄斑変性の症状には以下の様なものがあります。
片目で見たときに、直線が歪んで見えたり、中心が暗く見えたりする。

加齢黄斑変性の治療薬として最初に開発されたのがアメリカの製薬会社ジェネンテック(GENETECH)が開発した「アバスチン」でした。
アバスチンはもともと大腸ガンの治療薬として開発された薬でした。
しかし、アメリカの研究者が偶然、アバスチンが加齢黄斑変性への進行を遅らせ視力の回復に役立つことを発見したのです。
(発見したのはフィリップ・ローゼンフェルド教授で、教授が独自に試験的に行ったもの)

アバスチンを使用した治療は非常に効果的だったといいます。
重要な点は、アバスチンは癌の治療薬として設定されていたため、安価で手に入れることが出来た、という点です。

しかし、事態は変化します。
アバスチンを開発したジェネンテック(GENETECH)は、加齢黄斑変性の治療に特化した新薬を開発していました。
「ルセンティス」です。
ルセンティスというアバスチンと同じ成分の薬品を販売したのです。
しかし、ルセンティスの販売価格はアバスチンよりずっと高額だったのです。

アバスチンを1回投与するのにかかる費用は約50ドル。
ところがルセンティスは1回の投与で2000ドルもかかります。

次に起こったことは?
アバスチンはビンに入っています。(16ミニリットル)
そのため眼に直接投与するには適量を注射器に移し替える必要がありました。
アバスチンを眼に注入する場合、数十本の注射器に移し替えるのです。
それでもアバスチンの費用(人件費、設備費等)はルセンティスの1/20の費用しか掛かりません。

ヨーロッパでルセンティスを販売するのはスイスのノバルティス社(NOVARTIS)です。
同じスイスのロッシュ社(ROCHE)は、ジェネンテックを買収したことでアバスチンを販売できるようになりました。

ノバルティス社とロッシュ社の両社、特にロッシュ社は薬が転用されていることが気に入らないのです。

特定の病気のための薬が他の病気の治療に使われるのを嫌がるのです。

ここに製薬会社の悪質な傾向性があります。
その悪質な傾向性とは、患者第一、病気の治療最優先ではなく、自社の利益最優先の発想です。
既存の薬品が他の病気の治療薬として転用されると、新薬の出番がなくなるからです。
その新薬とは特定の病気のための専用の薬品と言ってもいいでしょう。

つまり、ある病気に対しての治療薬が限られていたほうが、開発する薬品の数が増えるわけです。
しかし、既存の薬品が別の治療に転用されると販売する薬品の数は減るわけです。
それを製薬会社は嫌がるのです。

これって、コロナワクチンとイベルメクチンの関係と似ていませんか?

ここで重大な事態が起こります。
ノバルティス社とロッシュ社は手を組み、眼の治療にアバスチンを使うのを止めてルセンティスを投与するように医師たちに求めたのです。

彼らは利益のために医師たちにこう言いました。

「アバスチンは癌の治療薬です。それをなぜ眼の治療に使っているのか理解できません」

(これは医師の証言です)

それでも医療機関は価格の安いアバスチンを使いつづけました。
それは複数の国際機関によって、2つの薬の効果がほぼ同じだと示されたからです。
効果が同じなのですから、当然安価な薬品を選択するのは理に適っています。

そこでノバルティス社とロッシュ社はフランス政府を相手取り法的手段に訴えました。
長い審理の末に、2社の主張は退けられフランス国内でアバスチンを眼の治療に使うことが認められました。
しかし、さらなる問題が起きます。
その問題は、治療をする眼科医にとって保険の規則があまりにも複雑で面倒になってしまったことです。
(2社の狙いはそこにあったとみるべきでしょう)
そのためにほとんどの医師がアバスチンを使うことを諦めてしまったのです。
結局、フランスではノバルティス製を含む高価な薬が加齢黄斑変性の治療の主力となっていきました。

イタリアでは、ロッシュ社とノバルティス社がアバスチンとルセンティスの価格を違法に操作したとして1億8千万ユーロの罰金が科せられました。
フランスでも公正な競争を妨げているとして調査の対象となっているようです。

なぜ、同じ効果の薬の価格が大きく違うのでしょうか?
使用する患者や社会常識からは「疑問」でしかありません。
その疑問は「不満」と言い替えてもいいでしょう。

結局、加齢黄斑変性の治療に価格の安い代替品が使用されることはなくなりました。
これで得をしたのは誰でしょうか?
患者? それとも製薬会社? 
答えは明らかですね!

付け加えるとノバルティス社はロッシュ社の株式の1/3を保有しています。
つまり、ノバルティス社とロッシュ社は同じ利益を分け合う仲間だということです。

『【後編】製薬会社の光と闇』につづく。

最後までお読みいただき、ありがとうござりんした!

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