河井議員夫妻が初公判で無罪を主張した
２０２０年８月２５日、河井克行前法務大臣（衆議院議員）と妻で参議院議員の案里議員が起訴された裁判（昨年行われた参議院選挙をめぐる大規模な買収事件）の初公判（東京地裁）が行われた。
法定で、夫妻とも無罪を主張した！
河井克行議員は、
「現金は票のとりまとめを依頼する趣旨で提供したわけではない」
と述べ、
案里議員も、
「当選を目的として現金を渡したことはない」
と主張した。
なんと！！
《河井議員夫妻の起訴理由は？》
河井克行前法務大臣が起訴された理由は、去年の参議院選挙で妻の案里議員を当選させるため、地元議員や後援会幹部など合わせて１００人に対し、２,９００万円を配ったとして公職選挙法違反の買収の罪に問われたもの。
案里議員も、このうち地元議員５人に合わせて１７０万円を配った罪に問われている。
《事件（裁判）の争点は？》
裁判の争点は、「投票を目的として現金を提供したのかどうか？」
である。
河井議員夫妻は、よほど自信があるようだ。
あるいは極悪なのか？
仮にも国会議員をしていた人間が「公職選挙法」を知らぬはずがない。
なにをすれば違反にあたり、なにが違反でないかを熟知していると言っていい。
さらに、グレーゾーンも理解しているはず。
夫の河井克行氏は、法務大臣を務めた人間だ。
他の国会議員よりも法律違反には人一倍敏感でなければならない。
つまり、法務大臣を経験した河井克行議員と案里議員は、「言い逃れする術（すべ）を心得ている」ということだ。
それが彼らの自信の源だと、アチキは推測している。
それと、背景には選挙買収を行っているのは、河井議員夫妻だけではない、という事情があると思われる。
要するに、他の議員もやっている、でも、捕まってないじゃないか？ という妙な考えが背景にあるように思う。
辞職した地元議員たちは、いったいなんだったのか？
この公職選挙法違反の一連の事件が発覚して、地元広島県では、現金の受け取りを認めた市長・町長、地方議員が７人も辞任する事態に発展している。
辞職した首長
安芸太田町長、小坂真治氏。
三原市長、天満祥典（よしのり）氏。
安芸高田市長、児玉浩氏。
現金を受け取ったとして辞職した地方議員
府中町議、繁政秀子氏。
地元広島の有権者からは、
「ありえない。もし無罪だったら、これまでの買収が全部無罪になるから。広島の恥」
「議員はいろいろ不祥事があるけど、基本なんだかんだで居座ったりするので、一般人と政界人との境目をどうしても感じてしまう。もう少しクリーンな政治を目指してほしい」
という声が寄せられている。
《重要ポイント》
この事件で重要なことは、
「現金を受領した多くの地元議員たちが買収目的と受け止めていること」
である。
もし仮に、河井議員夫妻の言うことが真実なら、地元議員はなぜ辞職したのか？
「投票目的で現金を渡された」
「投票目的で現金を渡していない」
この矛盾する発言は、片方が嘘である。
両立はない！
さて、地元議員はなぜ辞職したのか？
真実は一つしかない！
《買収された側も選挙違反》
公職選挙法では、票の取りまとめを依頼する趣旨として金品をもらった側も、処罰の対象とする規定がある。
これを「被買収」と呼び、受け取った金品を返却しても罪は成立する。
本来、河井議員夫妻から現金を受け取った地方議員たち全員が公職選挙法違反である。
しかし、前代未聞の大人数。
検察側の作戦は、河井議員夫妻にターゲットを絞り、地元議員と司法取引をしてまで河井議員夫妻を有罪に持ち込むつもりだろう。
（あくまでも推測）
ご意見番個人の意見としては、議員である以上、被買収が罪にあることを理解しながら、現金を受け取ったのだから、その時点で政治家失格である。
辞職されるがよかろう！
だが、単に辞職するだけはなく、贖罪のために河井議員夫妻の罪状を明らかにするために尽力するべきだと思う。
権力という魔力に惑わされた人間の姿
案里議員は、初公判でこう述べた。
「夫と共謀したことはありません。私の当選を目的として５名に選挙運動を依頼し、その報酬として現金をお渡ししたことはありません。自民党の党勢拡大のための政治活動の準備行為を行っていただけです」
河井議員夫妻は現金の受け渡し自体は認めたが、それが投票依頼が目的ではないと否定したのだ。
ならば、地方議員たちはこぞって「嘘」をついていることになる。
嘘までついて河井議員夫妻に無実の罪を着せ、辞職したのか？
そんなことがあり得るか？
確かに罪を犯していない人が罪を被せられることは実際にある。
アチキも志布志事件を記事にしたが、無実の人が有罪判決を受けることはある。
だが、その場合、罪を着せる方になんらかのメリットがある。
辞職した地方議員になんのメリットがあったのか？
逆に目も当てられないほど痛い目にあったのではないか？
議員が議員辞職するということは無職となることを意味する。
だれが好き好んで辞職するか？
この場合の地方議員たちの辞職とは、自らの罪を認め、河井議員夫妻の悪事を証明するために取った行動以外のなにものでもない。
辞職した地方議員たちは、自分たちの首をかけて河井議員夫妻の不正を追求しようとしたということだ。
それと、自分たちの罪への罪悪感と贖罪意識からであることは間違いない。
もし、百歩でなく、一億歩譲って河井議員夫妻が本当に現金買収をしていないのなら、なぜ彼らは辞職したのか？
そんな摩訶不思議なことがあるか？
アチキは河井議員夫妻の“面の皮の厚さ”と“腹黒さ”にビックリ仰天している！
人間が人間であるために
《議員が議員であるために》
国会議員であろうと、地方議員であろうと、選挙で選ばれる代議士が議員であるためには大切なことがある。
それは、
「有権者を裏切らないこと」
である。
別な言い方をすれば、
「有権者に信用、信頼されること」
だ。
有権者は、その人物の人柄と政治手腕（政策、交渉力など）を評価して１票を投じるのだ。
「現金」を使用して当選する選挙活動をおこなうことは、ルール違反である。
ルール違反が認められるスポーツがあるか？
ルールは守るためにある。
政治家なら、すでに権力を持っている代議士なら、ルール違反をしてもいいと思っているのか？
要するに、「現金によって票を買う選挙活動」は、卑怯な手口なのだ。
卑怯な手口で当選した人間に、真に国民のためを思った政治ができるはずがない。
卑怯な人間のすることは、いつも「自己中心」である。
「他人の傷みに無頓着」でありながら、自己保身が強いものだ。
真面目で実直で、正直な人間こそ、政治家として当選させるべきである。
政治家が政治家であり続けるためには、「有権者を裏切らないこと、信頼を勝ち取り続けること」が必要となる。
そのためには、政治家が国民の生活を守り、国民の立場にたった仕事をすることだ。
「正直で真面目で、知恵と情熱を持つこと」が、政治家が政治家であるために必要なことである。
《人間が人間であるために》
政治家である前に大切なことがある。
それは人間としての大切さである。
嘘をつかない！
約束を守る！
自分の欲望を最優先しない！
一番悪いことは「悪いと知って悪いことをしておきながら、その悪いことを認めないこと」だ。
つまり、悪いと理解しているのに、自分の罪から目を背け、臭いものに蓋をして、自己保身、自己防衛に走る。
それが悪事のなかの悪事である。
罪の自覚を持たない。
素直に反省しない。
迷惑をかけた人、裏切った人、傷つけた人に対して謝罪しない。
それが“人として一番悪いこと”だ。
人間としての大切さを守った上で、政治家としての資質を身につけるべきである。
「嘘」をつく、自己保身に走る、そんな政治家は政治家失格だけでなく、人間として失格である。
権力が人の偉さではない。
人の偉さは、その人の持つ“心の財産”からにじみ出てくるものである。
人間は不完全な生き物であり、欲望から完全に脱却できない生き物である。
間違いを犯し、他人を傷つけることもある。
だが、それを反省し、自己変革できるのも人間というものだ。
大切なことは、間違いをしたことよりも、その罪を認めないこと、罪を反省しないこと、なのだ。
人間としての大切さは、間違いを反省し、多くの人たちの存在に支えられて生きていることに感謝して生きることだ。
正直、真面目、誠実な人間性は政治家のみならず、間違いを犯しがちな人間が人間であるために必要なことである！
罪を犯してしまったら反省し、改めることが人間が人間であるために必要なことだ。
河井議員夫妻は、人間であるための道をすでに踏み外している。
最後までお読みくださり、ありがとうござりんした。