『ビッグ・ファーマ、薬品ビジネスの裏側とは?【後編】 ~製薬会社の光と闇~』

まずは【前編】製薬会社の行動原理とは?』をお読みください。

C型肝炎の治療薬『ソバルディ』の問題

《アメリカの薬品事情とは?》

アメリカには薬の価格に対する規制がありません。
FDA(食品医薬品局)の承認がおりれば製薬会社は薬品の価格を自由に設定できるのです。

C型肝炎の患者は世界で7100万人にのぼると見られています。
C型肝炎の治療薬に「ソバルディ」があります。
ソバルディはウイルスを体内から排除し、死に至ることもある慢性肝疾患の完治を促します。
2014年、製薬会社大手のギリアドサイエンシズ社(GILEAD)がソバルディの販売を始めました。
治療に必要な3ヶ月分で84,000ドル。
1錠あたり1,000ドルという高値です。
ソバルディはC型肝炎を治すことのできる初めての薬で3ヶ月間使用できればウイルスを排除できるのです。

ソバルディを製造販売しているのはギリアドサイエンシズ社ですが、もともと開発した会社は別にありました。
ソバルディを開発したのは、ファーマセット社でしたが、ギリアドサイエンシズ社はファーマセット社を買収することによって、ソバルディの製造販売権を得たのです。
つまり、企業買収によって「利益を生み出す新薬」を手に入れた、ということです。

なぜ、ギリアドサイエンシズ社がソバルディに目を付けたのかというと、「ソバルディが比較的患者数が少なく、なおかつ死に至るような重い病気の治療薬」に該当するからです。
そのような要件を満たす治療薬は「価格を高く設定」できるからです。

ヨーロッパでもソバルディは販売されていますが、患者からは怒りの声があがりました。
フランスのC型肝炎の患者はおよそ23万人。
そのうち「薬代を払えるのはフランス人の1%だけ」という訴えもあります。
また、42000ユーロもするソバルディは保険財政に大きな負担を与えています。

ソバルディの問題は、本来の適正価格よりもはるかに高い価格で売られていることを世に示したと言えます。

ギリアドサイエンシズ社はファーマセット社をおよそ100億ドルで買収しました。
その買収した金額が薬品代に上乗せされていると見られています。
つまり、企業買収の資金をC型肝炎の治療が必要な人、ソバルディによる治療をした人が負担しているとみることもできます。

当然世論から批判が起こりました。
批判を受けてギリアド社はソバルディの販売価格をおよそ半分にまで引き下げました。
半分ですよ、半分。
それは、半分でも十分利益がでるという企業判断です。
半分でも利益がでるものが、なぜ倍の値段で売られていたのでしょうか?
これも疑問という不満です。

アメリカの上院もギリアド社の調査に乗り出しました。
それによって流出した内部資料によると、ギリアド社の関心事がどうやって「利益を最大化しコストを補填するか」だったということが判明しました。
そこには製薬会社の使命と責任である「人々の健康への配慮という視点」が抜け落ちていたのです。

《製薬会社は深刻な病気の治療薬を求めている?》

薬の価格設定は、開発にかかった費用(コスト)よりも、利益を奪い合う一部のビッグ・ファーマの損得勘定に左右されているのです。

いま、製薬会社のあり方に変化がおきているのです。
かつて製薬会社が重視していたことは「市場の規模」や「流通量」でしたが、いまは「価格」に最大の重点を置くような流れになっているのです。

製薬会社は「深刻な病気の治療薬」を求めているのです。
多発性硬化症やガンなどの重い病気にかかった患者は、どんなに高額な薬(医療費)でも手に入れようとする(出そうとする)からです。
そこを狙って製薬会社は価格をつり上げるのです。
これは「お金が無い人は切り捨てる冷酷なビジネスモデル」と言ってもいいでしょう。

ここで製薬会社に関する重大な問題があります。
それは各国の政府が自国の製薬会社を保護していることです。

フランス政府はサノフィ社を守り、スイス政府はノバルティス社とロッシュ社を守り、アメリカ政府はファイザー社を守る。
ですから薬の価格を適正に引き下げたくても合意に持ち込むことが非常に困難なのです。

製薬会社の光としては、治療が困難な患者に治療薬を提供することで健康を取り戻す手助けをしていることでしょう。
ですが、その裏側に、高額な医薬品を手に入れない人を冷酷に切り捨てる残酷さをあわせ持ち、病気を利用して利益を得る構造も潜んでいます。
光と闇のどちらに傾くのか、ということが非常に重要なのです。

製薬会社は新たな市場を求めている

《新型コロナ感染症は製薬会社にとっては新たな市場》

新型コロナ感染症もビッグ・ファーマにとっては“新たな市場”とみなすことができます。
2020年3月初旬、各社は治療薬とワクチン開発の開始を表明しました。
一番乗りを目指す熾烈な争いが始まりました。

アメリカでCOVID-19の感染が拡大する前に、ホワイトハウスに製薬会社の幹部が集められました。
その中でギリアドサイエンシズ社がCOVID-19に有望な薬があり、すでに臨床試験を進めているという報告がなされました。
その薬とは「レムデシビル」
レムデシビルは元々「エボラ出血熱」の治療薬として開発されたものでした。
レムデシビルは公的資金の援助を受けて開発された治療薬です。

COVID-19のパンデミックが起こるとギリアド社はFDA(米国食品医薬品局)にある申請を出しました。
それは「オーファンドラッグ」の指定を受けるためのものです。

オーファンドラッグとは、患者数が少ない難病などの治療に使われる薬のこと。
アメリカの場合、患者数20万人未満の疾患に限定されています。

ではなぜ、オーファンドラッグの申請なのかというと、オーファンドラッグの開発に取り組む製薬会社には、法律上(税制上の優遇など)さまざまな優遇措置が認められているからです。
2020年3月の時点で世界のCOVID-19の感染者数は、およそ36万人。
しかし、アメリカでは4万人に過ぎませんでした(当時)。
ですから、レムデシビルはオーファンドラッグに指定されたのです。
その結果ギリアド社は7年間の市場独占権を手にしました。

オーファンドラッグには、市場を独占でき、審査が優先的に行われ、販売認可が早く降りるという利点があるのです。
一般的な20年間の特許に加え、7年間の市場独占権が与えられます。
つまり、もっと安いジェネリック薬品が出ても、アメリカでは販売できないということです。

要するに、優遇措置を得るためにオーファンドラッグの指定を受けたのです。
それが患者のためでしょうか?
患者最優先の薬品ビジネスと呼べるでしょうか?

消費者権利擁護団体(パブリックシチズン)は、この決定に抗議しました。
なぜなら、COVID-19の患者が今後急増することが予測されていて、申請をギリギリのところで行った卑怯な手と判断したからです。
批判にあったギリアド社はその2日後に指定の取り消しを求めました。
その後ギリアド社は世界各地の研究所にレムデシビルを提供していると発表しています。
COVID-19の重症患者に投与し、臨床試験を進めていることをアピールしました。(当時)
世界的なパンデミックの治療薬をオーファンドラッグに指定するなど、あってはならないことなのです。
それは知的財産権の濫用でしかないのです。

《FDAに潜む問題とは?》

現在のFDA(米国食品医薬品局)には問題があります。
それは金銭面で製薬業界に頼っていることです。
新薬の審査にかかる費用をまかなうためにFDAは製薬会社から手数料を集めているのです。
つまり、審査をする側のFDAが規制の対象であるはずの企業に経済的な依存をしているということです。

2020年5月、FDAはCOVID-19の重症患者に対しレムデシビルの緊急使用を認めました。
「審査する側が規制の対象であるはずの企業に経済的な依存をしている」ならば、公平な審査が行えるでしょうか?
常識がある人ならば「無理」と判断するのではないでしょうか?

この構図は、コロナワクチンに関することでも同じです。

世界の製薬会社売上高ランキング

《製薬会社世界ランキング(2021年版)》

2021年最新の世界製薬会社売上高ランキングは以下の通り。

『2021年版製薬会社世界売上高ランキング』
1位 =ロッシュ(スイス)
2位 =ノバルティス(スイス)
3位 =メルク(米)
4位 =アッヴィ(米)
5位 =ジョンソンエンドジョンソン(米)
6位 =グラクソ・スミスクライン(英)
7位 =ブリストル・マイヤーズスクイプ(米)
8位 =ファイザー(米)
9位 =サノフィ(スイス)
10位=武田薬品工業(日本)

コロナ禍に見舞われた2020年、世界の製薬会社で売上トップとなったのは、スイスのロッシュ社(約6兆6488億円)。
2位は、同じくスイスのノバルティス社、3位はアメリカのメルク社。
日本の製薬会社では、10位に武田薬品工業が1社だけ顔を出しています。

日本で有名となったファイザー社ですが、前年2位からの転落
理由は特許切れ薬事業を分離したことによる売上の減少による。
しかし、分離した事業以外では前年より2.0%の増収となっている。
しかし、ファイザー社は新型コロナワクチンの供給で売上高が前年比68.2%~73%増と大幅に売上高を増加させています。
同じくコロナワクチンを販売するモデルナ社も、売上増となっています。

(情報は、「Answers News」など)

製薬会社の思惑とは?

《製薬会社の思惑とは?》

「特定の病気のための薬が他の病気の治療に使われるのを嫌がる」

これって“何か”に似ていませんか?
そう、COVID-19に対するイベルメクチンの問題です。

もっと具体的に指摘すると新規に開発されたmRNAワクチンに対する既存の薬品であるイベルメクチンの関係です。
すでにある既存の薬品が違う病気に効き目があるという発見です。
ここに製薬会社の思惑があるのです。

要するに、製薬会社は「新薬」を売り込みたいがために「既存の薬品」を排除しようとするのです。(転用しないようにする)

製薬会社の存在意義とは?

《製薬会社に必要なものとは?》

こんな言葉があります。
製薬会社の「欲望」が人を殺す!

製薬会社の使命と責任とは、「その薬(ワクチン含む)を服用すると、どんなリスク(副作用)があるのかを知らせる」ことです。
はたしてコロナワクチンにおいて、ファイザー社、モデルナ社はその使命と責任を果たしているでしょうか?
否、否!

製薬会社が開発製造した医薬品の情報(特にデメリット)を使用者と情報共有するルールを守ることは重要なことであり、なおかつ必須のことだと思うのです。
新薬などの申請時に十分な注意喚起がなく、副作用等によって被害が出た場合、製薬会社は責任を負うべきです。
この点において言い訳は一切認められません。
認めてはいけません。
なぜなら、命と健康に関する問題だからです。

開発された薬品のなかには当然ながら公的資金を受けて開発されたものがあります。
それらの薬品が適正価格以上の高値で販売されるというのは、いったい誰のための治療薬なのか、と言わざるを得ません。
その半分は患者のために役立つものであるが、残り半分は製薬会社の欲望であると言えます。

いまや製薬会社がひとつの国家並みの力を持っているのです。
製薬会社とは、単なる薬のビジネスと考えるビジネスモデルであってはならないのです。
利益を最優先するビジネスではならないのです。
医療的倫理を最優先した上でのビジネスモデルでなければいけないのです。
医療的倫理を置き忘れた製薬会社のビジネスモデルは、医療行為ではなく、健康被害をもたらします。

《製薬会社の言い訳とは?》

「薬と被害の因果関係が分らなかった」
「薬が原因だと断定できなかった」

というものです。

であれば、政府と第三者機関などによって解明する法律を制定し、不備や注意喚起がなされなかった場合に製薬会社に責任を負わせるようなシステムにするべきです。
こうしたことが成されなければ、製薬会社の患者を置き去りにした利益第一主義はなくなりません。

なお、製薬会社で働く個人には、善意を持って人々に貢献しようと研究開発をしている方が多くいると思います。
製薬会社が無ければ人類は半減していたかもしれません。
全世界の人たちにとって製薬会社の供給する医薬品は絶対的に必要なものなのです。
その研究と開発には頭が下がる思いです。

ですが、ビッグ・ファーマと呼ばれる巨大組織体としては、利益最優先という悪質な体質を持っているということです。
誤解ないようお願い致します。

《製薬会社の存在意義とは?》

新型コロナ感染症によって、世界中で何が起きたのか?
それは製薬会社が大儲けした、という事実ではないでしょうか?

製薬会社の作る薬(ワクチン等)がパンデミックを収束させ、人類を救うのならば、製薬会社は人類に大いに貢献したことになります。
しかし、実際はワクチン接種によって多くの死亡者が出ています。
また、ワクチン接種による被害(重軽傷を問わず)が出ています。

製薬会社の存在意義とはなにか?
この根本的な問題を、いま考えるべきです。

最後までお読みいただき、ありがとうござりんした!


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