『国際ロマンス詐欺(ロマンス詐欺)に騙されるな!【後編】~ロマンス詐欺被害者の特徴とは?~』

【後編】~ロマンス詐欺被害者の特徴とは?~

これまでの記事

【前編】~ロマンス詐欺に共通する特徴(手口)①~
【中編】~ロマンス詐欺に共通する特徴(手口)②~

国際ロマンス詐欺師の本音とは?

《国際ロマンス詐欺師の本音とは?》

水谷氏は国際ロマンス詐欺の拠点となっているアフリカに渡り、現地で実際にロマンス詐欺を働いた者たちにインタビューをしている。
アフリカでも、ナイジェリアとガーナに国際ロマンス詐欺師が多く存在している。
ナイジェリアという国家は、詐欺が横行していた歴史的背景があり、サイバー犯罪にとっては天国とも言える。

ロマンス詐欺で大儲けして金持ち気取りをしている者たちを「ヤフーボーイ」と現地では呼ぶ。ゆえんは、Facebookがない時代からヤフーメールを使って被害者にアプローチして詐欺をしていたから。
彼らは若者であることが多く、騙し取ったお金で高級車を買って豪遊している者たちがいる。ナイジェリアの若者にとってはヤフーボーイになることは「憧れ」でしかない。
彼らに罪悪感など微塵もない。
彼らは詐欺行為を「貧困から抜け出すための仕事」と考えている
価値観が狂っている連中というしかない。

ルポ国際ロマンス詐欺より引用

ナイジェリア全土の大学生の多くが、スマホを駆使し、国際ロマンス詐欺をはじめとするサイバー犯罪に手を染めているというのだ。ナイジェリアでは、国際ロマンス詐欺は、サイバー犯罪をやる上では誰もが通る、いわば「入門編」のようなもの、サイバー犯罪に関与している若者たちは全員が、その手口を心得ているのだ。

ナイジェリアでは、国際ロマンス詐欺は、サイバー犯罪をやる上では誰もが通る「入門編」

サイバー犯罪が違法行為(やってはいけないこと)と思わず、お金を稼ぐ「仕事」と捉えられている。さらにそうした犯罪の手口が多くの人たちによって共有されている。

現地調査した水谷氏によれば、実行犯には、大学生を中心とする18~30歳の若者が多いという。ナイジェリアでは、若者たちの10人中8人くらいがサイバー犯罪に関与している。
彼らは学費や生活費を稼ぐために罪の意識もなく詐欺行為を行う。
これは日本で被害にあっている人たちからすれば、たまったものではない。

ルポ国際ロマンス詐欺より引用

ヤフーボーイたちは、国際ロマンス詐欺のことを英語で「ディティング」と呼ぶ。詐欺の標的とする相手のことは「クライアント」である。日本では「被害者」だが、彼らからすると、お金を貢いでくれる「お客さん」という認識なのだ。

注:「ディティング」とはデートをすることを意味し、国際ロマンス詐欺のことを指す。

騙しておいて「お客さん」とは、なんとも“盗人の論理”としか言いようがない。
それと現金を「コレクト(集める)」するとも言う。
倫理も善意も良心もない人間と呼ぶべきである。
人間の皮を被った獣と言いたいが、獣に失礼かもしれない。

だが、この記事を読んだ人は知って欲しい。
彼らが標的とする“お客さん”はきまって「情弱」な人である。
何に情弱なのかと言えば直接的には詐欺情報に弱いのであって、さらには「悪」に対して無関心であり、「悪学」をしていない人たちと言える。
つまり“世の中の悪に関する学び”をしていないということ。
この世には、善人もいるが悪人もいるのが現実。
だから、悪に対して無知であるとときとして不幸に襲われることがある。
その一つが詐欺である。

《口説き文句にはフォーマット(例文)がある》

甘いささやき、愛情あふれるメッセージ、これらはその人物の心から自然に湧いている感情を言葉にしているわけではない。
身も蓋もないことを言ってしまうと、「フォーマット(例文)」がある

*主にメッセージアプリ「Telegram」にある共有サイトから拾ってきたもの。

ルポ国際ロマンス詐欺より引用

ヤフーボーイたちはこれらの例文をコピペし、あるいは自分流にアレンジしてからクライアントに送信している。

甘いささやき、愛の言葉などには「例文」があってそれをコピペしていたというのが現実なのです。

《ロマンス詐欺のポイント》

ロマンス詐欺にはポイントがあります。
そのポイントとは、被害者にとっては“分岐点”となるものです。
ロマンス詐欺師にとってはポイントであり、被害者側からすれば分岐点となることが、「恋に落ちる(恋心を抱かせる)」ことです。
この場合の“恋心を抱かせる”とは、詐欺師側を信用させるということを意味します。

ですから、この恋心を抱かせることにロマンス詐欺は全精力を傾けます。
被害者側からすれば、恋愛感情を抱いていなければ後戻りができます。恋愛感情を持っていなければ大金を騙し取られる可能性は極めて低くなります。

《国際ロマンス詐欺師とロマンス詐欺師の違い》

国際ロマンス詐欺師の場合、多くがアフリカのナイジェリア、ガーナに本拠地があり、騙す標的(クライアント)は、大半が欧米諸国の白人です。
しかし、国際がつかないロマンス詐欺があり、日本人が模倣していると思われる詐欺がある。
特殊詐欺がそうであるように、日本人(詐欺師)による日本人へのロマンス詐欺の場合、背後にいるのは「暴力団」と思われる。
また、中国やフィリピンなどの拠点からロマンス詐欺をする犯罪グループもいると思われる。

ナイジェリアなどのアフリカを拠点している国際ロマンス詐欺の場合、組織的犯罪というよりも単独犯の犯行であることが多く(部分的な協力者はいる)、日本人(詐欺師)による日本人へのロマンス詐欺の場合、詐欺組織による犯罪であると考えられる。

《警察は頼りにならない》

国際ロマンス詐欺は、捜査をすることも難しいし、逮捕することはさらに難しい。
なぜならば、騙す側は他人の画像などを使うため、自分の正体をさらさないで済む。
SNSを利用して、もしなにかあればブロックすれば逃げられる。
さらに日本では現状、アプリ側が情報を公開しない限り、詐欺師の情報を得ることができず、詐欺師を追跡する手段がない。
つまり、「見破られにくい」というネット上(SNS)のからくりが国際ロマンス詐欺犯の絶対的な強みを生み出しているのだ。
彼らはこの点を良く理解している。

酷なことを言います。
ロマンス詐欺被害において、警察はほとんどのケースで被害者救済の力とはなりません。
騙し取られたお金は戻ってこないし、被害届け出を出して詐欺師が逮捕されることは稀です。
なぜならば、国際ロマンス詐欺の場合、詐欺師が海外にいるからであり、国内に詐欺師がいたとしても証拠を残さないやり口をしているからです。
そもそも詐欺罪は立証が難点となっているからでもある。

ルポ国際ロマンス詐欺より引用

「現状では泣き寝入りするしかないです」
「ネットで知り合ったどこの馬の骨とも分からない犯人の特定は難しい」
「口座の凍結ぐらいしかできません」

それでも言う。
泣き寝入りせずに、せめて被害届け出を出すべきだと。
泣き寝入りして詐欺師と被害者しか知らないとなれば、ロマンス詐欺犯罪の(被害の)全体が見えないどころか、世論形成にも役に立ちません。
被害にあっている国民がいることを世間が認知することによって、それが警察と政治家を動かす力となり得ます。
だから、詐欺被害の届け出をせめて出すべきです。

ロマンス詐欺被害者の特徴とは?

《被害者に共通すると思われる特徴とは?》

〈被害者に共通する特徴その1〉

*被害者に共通する特徴に、(多くが)「独身」である点があげられます。
(独身であるということは、孤独感や寂しさ、将来への不安を抱えていることが多い)

水谷氏の著書の中に被害者の言葉があります。

ルポ国際ロマンス詐欺より引用

「私の気持ちをもっと理解し、支えて欲しかった。愛情を求めていたのかもしれません」

ロマンス詐欺にあってしまった被害者の多くが心に「寂しさ」や「孤独感」、「(独身が故の)将来への不安」を抱えています。
ロマンス詐欺はその心の隙に入り込んでくるのです。

〈被害者に共通する特徴その2〉

*誰にも相談しないし、忠告されても聞く耳をもたない。

「誰にも相談しないし、忠告されても聞く耳をもたない」のですから、当然相手のことを疑って正体を探ったりしないのです。
実はここが肝心な所なのです。
調べれば必ず「おかしな点」が見つかるのです。
被害者は、相手への恋愛感情が芽生えていて、相手も自分へ好意があると思い込んでいる(正確には思い込まされている)のです。
だから、相手のことを調べもしないし、誰かに相談する必要はないし、忠告されても無視するのです。

要するに、相手の言うことを鵜呑みにして客観的な判断をしていないということです。
自分で判断しているようでしていないのです。
実際は、考えさせないようにされていると同時に誘導されているのです。
この誘導は、ある種のマインドコントロールと言った方がいいでしょう。
彼らは人間心理を巧みに利用しているのです。

〈被害者に共通する特徴その3〉

*ロマンス詐欺の被害にあう人たちは「お人好し」が多い。

「お人好し」というとあまりいい言葉に聞こえないかもしれませんが、ようは善意を持っている人たちであり、誰かに頼られたら助けてあげたいという気持ちを持っている人たちであるということです。
自分本位で、誰かを助けようなどとは微塵も思っていない人は、ロマンス詐欺が仕掛ける「情に訴える作戦」に引っかかりません。なぜならば、他人のことなどどうでもいい自分本位の性格だからです。
親切である、誰かを助けたい、という心(性格)は本来良きものですが、こと詐欺の世界に関してはそれが返って仇になるのです。
そこに必要なものは、「知恵」なのです。
ここで言うところの知恵とは「悪に関する知識や情報を含んだ騙されないための知恵」です。
ロマンス詐欺だけではなくどんな詐欺でも詐欺師は必ず「嘘」をつきます。
つまり、「嘘を見破る知恵」を持っていないと騙されてしまうということです。

被害者たちは一度も不信感や疑問を持たなかったかというとそうではない。
疑問や不信感を持つことがあるが、それを詭弁でねじ伏せてしまうのと惚れた弱みに付け込むのがロマンス詐欺師でもあるのです。
結局、不信感や疑問がわいても、「恋愛感情」が勝ってしまい、「助けてあげたい」という気持ちが不信感や疑問に蓋をしてしまう。
ロマンス詐欺とは、盲目な恋を利用してお金を騙し取る卑劣な犯罪なのです。

ルポ国際ロマンス詐欺より引用

私が取材をした被害者には、いわゆる「お人好し」と言わざるを得ない人が多かった。前出の西田教授もこう指摘する。

「被害者の中には、素直で真面目な、いわゆる“いい人”が多いのも特徴です。心理学的に共通して言われていることですが、そういう人がSNSを利用すると、会ったこともない相手に対して自分を投影し、自分と同じような人だと考えてしまうケースが少なくない。つまり、自分が善意だから相手も善意だと思い込んでしまうのです」

被害者は、素直で真面目なお人好しが多い。
これをロマンス詐欺師たちは、柔道や柔術のように相手の力を逆手に取って相手を倒すのと同じように、この被害者の特質を悪用して騙すのです。

被害者の多くが「人を疑いたくない」「人の面倒を見るのが好き」「誰かの役に立ちたい」という性質を持っていますが、詐欺師からすれば騙す対象のリストにあがること以外の何ものでもないのです。

はっきりと言います。
本人は、騙されやすい傾向性を持っています。
これには深い文化的な要因が潜んでいます。
ここで必要なことを私の表現で言うならば、「悪の学び」が非常に少ないことです。
世の中には「善意」があると同時に「悪意」が満ち溢れているのです。
だから、各種の犯罪が横行し、不幸な出来事が起きているのです。
「悪なることを学ぶ」ことも善の道を歩むために必要なことであり、自分の命と財産を守る防衛力となるのです。

《詐欺は悪魔の所業》

ロマンス詐欺にあった人たちは「心を奪われ、信じた相手に裏切られたことへの遺恨や自己嫌悪」から逃れることが困難となります。
ロマンス詐欺とは、金銭的にも精神的にも相手を傷つける卑劣な犯罪なのです。
どこかで「騙し」に気がつき引き返せなかった被害者は、次から次へとお金を搾り取られ、奈落の底へ突き落されるのです。

ですが、水谷氏が著書の中で示しているように国際ロマンス詐欺の場合は、詐欺師たちは罪悪感など一切持っていないのです。
水谷氏の著書のなかで、(アフリカで)ロマンス詐欺を行っていた人物たちは水谷氏のインタビューにこう答えています。

ルポ国際ロマンス詐欺より抜粋引用

「生活のためです」
「彼は自分の意思でお金を送っているのです。だから僕は騙しているつもりはありません。罪悪感もありません。そもそも、彼とのやり取りに自分の感情を入れていませんから」
「生活していくための仕事だと思ってやっています」
「あれは詐欺ではない。投資に失敗しただけだ。彼女の欲望が原因だ」

要するに、自分たちの犯罪性、罪を一切認めないのです。
善悪の価値判断ができず、反省もできない強欲で無慈悲な者たちなのです。
詐欺師とは、「生きてこの世にいる悪魔」と思った方がいいでしょう。

ロマンス詐欺においては、必ずあなたのコンプレックスを忘れさせてくれますし、あなたの気持ちに寄り添ってくれますし、あなたの話す過去の出来事等も一切否定せずに受け入れてくれるし、ありのままの自分で肯定されているという感覚を抱かせてくれます。
しかし、すべてはあなたからお金を騙し取るためにしていることです。
本気であなたに寄り添い、あなたを励まし、あなたと未来を築きたいと思っているわけではありません。
すべては「嘘」であり、すべては「虚像」です。
真実はそこにありません。

人生には良きことばかり巡ってくることはなく、必ず人生のどこかで苦難困難、悲劇が訪れます。そのときにそこから何を学ぶのかが大切です。
七転び八起きの精神で起き上がることです。
借金があっても命までは取られません。
詐欺被害にあったということを学びに変えることが大切であり、最も大切なことは「生きる」ことです。
生きて人生を立て直して、幸せな人生を掴むことです。
それが詐欺への復讐と考えて「生きる力」とすることです。

ロマンス詐欺犯へのメッセージ

《ロマンス詐欺犯へのメッセージ》

被害者たちは、借金返済と人間不信、そして自己嫌悪などを抱き、やり場のない怒りと失恋の傷みにも似た傷を抱え、絶望と戦って生きている。
ロマンス詐欺は、卑劣で卑怯で悪質な犯罪。

お前たちの心は、すでに地獄の魔界に通じ、死後必ず地獄に落ちる。
閻魔大王には、一切の言い訳や詭弁、嘘は通用しないと思え。
地獄の苦しみは、あなたが犯した罪の重さであることを自覚せよ!!

ロマンス詐欺被害にあってしまった人へのメッセージ

《ロマンス詐欺被害にあってしまった人へのメッセージ》

ロマンス詐欺にあった人たちに知って欲しい詐欺師の言葉があります。

ルポ国際ロマンス詐欺より引用

犯罪だとは考えていません。繰り返しになるけど、あくまでお金を得るための仕事です。クライアントから現金を集めてはいるけど、支払いを強要しているわけではない。それにメッセージや写真を送り続け、クライアントを楽しませている。その対価としてのお金だとも思っています」

別の人物はこう言い張っている。

ルポ国際ロマンス詐欺より引用

「彼は自分の意思でお金を送っているのです。だから僕は騙しているつもりはありませんし、罪悪感もありません。そもそも、彼とのやり取りに自分の感情を入れていませんから」

(この事例は詐欺犯が女性と偽って男性を騙したケース)

国際ロマンス詐欺と呼ばれている犯罪行為を、「お金を得るための仕事であって犯罪だとは考えていない」、「支払いを強要しているわけではない」、「クライアント(被害者)を楽しませている対価としてお金を受け取っている」、「自分の感情を入れていない」。
嘘と詭弁のオンパレードです。
偽の人物像(偽のプロフィール)、恋愛感情を持っていないのに持っているように装って相手をその気にさせる、ありもしない架空のトラブルを持ちだしてお金を要求する、相手が騙されていることに気がつかずに恋模様を描いていることを楽しませているとすり替えと詭弁を使い、嘘で塗り固めた盗人の論理で自己防衛して、まったく罪の意識がない。
人の心を持っていない野獣、魔物と言えよう。

信用した相手から裏切られ、お金を騙し取られて、傷心し借金だけが残った。
絶望感と自責の念に襲われていることでしょう。
なかには背負いきれない借金を抱えてしまったこと、恋心をあそばれたことに傷つき、死を考えた人もいるでしょうし、実際に自死した人もいるでしょう。

私が伝えたいことは、「絶対に死んではいけない」ということと、「生きていればいつかきっと幸せを感じることもある」ということです。
「生きる」、このこと自体が詐欺師と戦い(復讐戦)となると考えることです。
借金返済に時間がかかり、その期間辛い日常生活を過ごさねばならないかもしれません。
それでも、生きるのです。
生きることが詐欺師への復讐だと考えるのです。
もし使命感を持つならば、ロマンス詐欺被害の警告をすることです。

あなたが死んでもロマンス詐欺師たちは、痛みも悲しみも感じません。
なぜならば、罪悪感など持ち合わせていない奴らだからです。
ですから、絶望して死を選ぶことは、証拠(証明する被害者)がなくなることを意味して、奴らにとっては好都合なことでしかないのです。
ですからなんとしても生きるのです。

もしあなたの家族がロマンス詐欺にあって借金を作っても責めないでください。
もうすでに深く傷ついているからです。
騙され、お金を奪われて傷ついている状況で、家族から責められたならば、その人はどうやって生きる力を維持すればいいのでしょうか?
もしあなたの家族がロマンス詐欺にあって、たとえあなたがお金を貸したとしても、それ以上被害者を傷つけないでください。

生きるのです!
這いつくばってでも、生きるのです!

参考書籍

書籍名:ルポ国際ロマンス詐欺
著者:水谷竹秀
出版社:小学館(小学館新書)

最後までお読みいただき、ありがとうござりんした!


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