【香港の若者たちが革命を起こそうとしている】
約1年前の2019年6月、香港で大規模な抗議活動が発生した。
この活動のほとんどが“若者たち”です。
学生を中心とした活動で、その集団のリーダーも若者、参加するメンバーも若者たちなのです。(もちろん中年の方もいます)
彼らは「香港を取り戻せ!時代革命!」と主張しています。
大勢の若者たちが路上を占領し、デモを鎮圧しようとする警察と争っている様子は、平和な国日本から見ると別世界のようにも見えます。
抗議活動をする若者たちとそれを阻止しようとする警察との様子は、市民記者、市民カメラマンによって記録され世界に発信されました。
そのなかで大変衝撃的なのが、ヘルメットをかぶり、盾を持った若者に、警察が至近距離から実弾を発砲するシーンです。
暴挙以外の何ものでもありません。
殺傷能力のないものしか持たない市民に発砲することなど許されることではありません。
また、警察の言うことを聞かないという理由で、市民であるはずの若者を、警官が5~6人で寄ってたかって押しつぶして押さえつけています。
しかし、逆にデモ隊の一部が過激化して、商店街のシャッターを蹴飛ばしたり、スプレーでいたずら書きをしたりする動きもあるようです。
若者たちの多くは黒い服に防護マスクをし、傘や盾を持って警察と対峙しています。
警察は催涙弾を打ち込みます。
それを若者たちが水で消します。
防護マスクは催涙弾の煙を吸わないためです。
若者たちの主張は、
「中国政府は私たち香港人の自由をじわじわ搾り取っている」
若者たちが主張しているように、香港革命とは「自由を取り戻すこと」「自由による繁栄を勝ち取ること」が目的です。
若者たちはソーシャルメディア(FacebookやTwitterなど)を利用して、この時代革命を世界に向けて発信しています。
なぜ、香港の若者たちは立ち上がったのでしょうか?
ある若者の声に理由の一旦を見ることができます。
「僕ら返還後生まれは香港がだんだん悪くなっていく中で育った。香港が繁栄した良い時代なんて少しも享受していない」(1997年香港の本土返還)
「僕らが見てきた香港は絶望だ」
それでも若者たちは孤立しているわけではありません。
デモ活動には参加しなくても、若者たちの主張に賛同し、物資などを寄付する市民が多くいるのです。
香港市民の中では意見が割れています。
若者たちの行動を理解して協力する人もいれば、迷惑としか捉えない人もいます。
でも、迷惑と思いながらも若者たちを可愛そうだと見る考えがあります。
それは、「若者に未来」がないと繁栄の時代を過ごしてきた大人たちは思っているからです。
現状の香港では、物価も家賃もどんどん上昇して、住む場所は狭くなる。
生活が少しも良くならない。
そんな状況が続いています。
そんな香港の街並みには、若者たちへの応援メッセージが貼られるようになりました。
壁一面に貼り出された文字や写真などで埋め尽くされたその壁は、「レノンの壁」と呼ばれています。
ビートルズのジョン・レノンにちなんで呼ばれたものです。
初めは若者たちの行動が理解できず、香港でなにが起きているのか分からなかった市民たちも、レノンの壁を見て、香港でなにが起きているのかを理解するようになりました。
政府関係者や中央政府を支持する人が貼り紙をはがしても、また誰かが貼っていくのです。
それはレノンの壁がまるで生き物であるかのようです。
【香港“雨傘革命”】
2014年、香港では「雨傘革命」と呼ばれた反政府デモがありました。
雨傘革命は、香港特別行政区政府に抗議するデモ活動でした。
雨傘革命が起きた理由は、中国の「一国二制度」の下で、高度な自治が認められている香港で、2017年香港特別行政区行政長官選挙から1人1票の「普通選挙」が導入される予定であったことを無効とする動きがあったためです。
中国政府は、行政長官候補は指名委員会の過半数の支持が必要であり、候補は2~3人に限定すると決定した。(2014年8月31日)
これに対して香港の民主化を目指す「学民思潮」などの団体は、指名委員会の多数は親中派で占められているため、中央政府の意に添わない人物の立候補を事実上排除する方針だとして、学生を動員してボイコットを行ったものです。
つまり、香港自治の責任者である行政長官を中国政府(共産党)の手先にするのか、香港の自由を守る人物にするのか、という問題なのです。
要するに、若者たちが立ち上がった理由は、中国政府が香港から自由を奪い、中国政府の言いなりになる香港にすることを阻止して自由を守るためだったのです。
雨傘革命というネーミングはイギリスのメディアがつけたものです。
デモ活動をする若者たちに催涙弾などを打ち込む警察に対抗するため、デモ隊が傘をさして抗議活動を行ったその様子から名づけられたのです。
このとき香港の革命はすでに始まっていたのです。
雨傘革命から時代革命へと引き継がれているのです。
【断絶する世代】
こうした若者たちの革命運動を、香港市民の全員が共感し、協力または応援しているかといえば、実は違います。
親世代の人たちには、逆に抗議活動を続ける若者たちと対抗しています。
親世代の主張はこうです。
「香港を取り戻すと言いながら、若者はあちこちを壊しているだけじゃありませんか?」
親世代を中心とした一部のシニア世代は、若者たちに異を唱え中国本土への支持を強く主張しているのです。(シニア世代のすべてではない)
時代革命を求める若者たちとシニア世代を中心にして、香港市民には亀裂が生じています。
2019年11月24日、区議会議員選挙が行われました。
香港では唯一となる「1人1票」の直接選挙です。
抗議活動を支持する民主派は8割を超える議席を勝ち取りました。
ですが、中国政府を支持する親中派に投票する人たちが全体の4割もいたのです。
これは香港の分断を意味するものです。
香港の人たちは政治的立場で色分けされ、「民主派を黄色」「親中派を青色」と識別するようになります。
スマホのアプリで店舗情報を見ると、民主派を支持する店舗は黄色、親中派を支持する店舗は青色で表示され、一目で政治的立場が分かるようになっています。
また、時代革命に立ち上がった若者たちの親世代である中高年は、若者たちの抗議活動を破壊行為だとして強い反感を持って、逆に抗議活動を行っています。
親中派のシニア世代の主張は、
「若者たちよ、街に出るのは止めなさい。私たちの国が世界中からどんなに羨ましがられているかを知るべきです」
「香港は素晴らしい環境です。いくらでもチャンスがあります」
「私たちは平和的に訴え、香港を守るのです」
「あっちは治安を壊しているじゃありませんか?」
要するに、香港の自由による繁栄をいままで享受してきた、そしていまは中国本土からの支援などに満足しているから、現状を変える必要はないという主張です。
シニア世代のリーダーはこう語ります。
「私は香港の発展をこの目で見てきました」
「60年代、中国もまだ貧しかったのに、香港のために大変な思いをして水道を引いてくれたのです。そのおかげで今の香港があるのです」
結局、革命を進める若者たちと中国政府を支持するシニア世代の相違は、いままで香港の繁栄を享受してきたか否か、中国本土の支援を直接受けてきたか否かに原因を発し、さらに将来(未来)なにを享受できるのか、という認識の違いからくるものです。
シニア世代は過去の繁栄と恩にしがみつき、若者たちは未来の繁栄を夢見ているのです。
【香港革命の意味】
逮捕される大きなリスクを背負いながら、若者たちはなせ活動を続けるのでしょうか?
香港にはイギリス統治時代の「自由主義」「繁栄主義」が社会と香港の人たちの深層心理にしっかりと根付いているように見えます。
今回の話題は、日本人には関心も薄く、理解も浅く、意味も良く分からないかもしれません。
ですが、想像してみてください。
日本ではネットで自由な発言や自由な表現が許されています。
好きなサイトにアクセスすることが出来るし、自分の意見を発信することも可能です。
それが、禁止されたらどうでしょうか?
見ていいサイトは「これとこれだけ」、「個人の政府批判は許されない」、「政府の政策や総理を批判したら逮捕する」なんて社会を望みますか?
また、共産党でない人には職業的成功がない社会はどうでしょうか?
あなたの同僚が才能と実力がなくても共産党員であることを理由に出世して、共産党に賛同しないあなたが不当な扱いを受け、それによって経済的損失(収入の損失)を受けたとしたら、それを許せますか?
それが香港の若者たちが立ち上がった理由です。
つまり、時代革命とは、「自由を勝ち取るための戦い」であり、「自由からの繁栄をつくり出すための戦い」なのです。
おそらく日本人の一部には、「争いはダメ」「平和な話し合いで決着つけなさい」という方もいるのではないかと思います。
ですが、日本人はこの70年の間、戦争、紛争にほぼ巻き込まれない平和な生活を送ってきたおかげで忘れ去ってしまったのです。
誤解しているのです。
平和の意味を・・・。
平和とは「なにもしないこと」「争わないこと」ではないのです。
平和とは、ときに「勝ち取るもの」なのです。
平和な生活は与えられるものではなく、自らの手で勝ち取るものなのです。
平和の世の中を勝ち取るためには、“一時的に”戦わねばならないのです。
つまり、戦いのための紛争ではなく、自由や平和、繁栄を享受するために戦う必要が出てくるということです。
香港の時代革命の意味とは、
若者たちが自由のない独裁社会を拒絶し、自由からの繁栄を目指す活動なのです。
【自由の意味とは?】
自由の意味を語るには膨大な量が必要となりますが、一般の人に分かりやすく言うとするならば、こう言うことです。
人は買い物をします。
買い物をすると嬉しくなりませんか?
自分の好きな物を好きなお店で購入することは喜びではないでしょうか?
(それがネット購入でも)
それはなぜでしょうか?
そこに自由があるからです。
自由意思が働いているからです。
例えば、買い物をするときに、A店とB店で比べて、A店のほうが品ぞろえが良さそうだ。
A店の方が値段が安い。
となるとA店で商品を買いませんか?
また、店内でいろいろな商品を見て、比較して自分の気に入ったものを購入する。
こうしたことで人間は喜びを感じるようになっているのです。
つまり、自由な意思(選択)が働くことで満足するのです。
これが、配給制度だったらどうでしょうか?
(少し極端な例ですが)
あなたの今晩のおかずはこれです。
あなたが着る洋服はこれです。
これしか着てはいけません。
また、政府批判は逮捕します。
発言は政府によって監視します。
こんな状況(生活)で喜びを感じるでしょうか?
人間が幸福感や喜びを感じる根底には「自由」があるのです。
「自由」の発露としての「個人の選択」があってこそ、人は喜びや幸福感を味わえるのです。
ですから、自由を奪う「独裁政治」「独裁者」「独裁国家」に対して、戦いを挑み「自由」を勝ち取ろうとする動きが歴史上現れてくるのです。
あなたはSNSやブログなどで自由な発言が許される国家と、個人の行動を規制し監視される国家のどちらを望みますか?
【香港革命と日本の関係】
この香港の時代革命は、日本と日本人に無関係ではない、と言っておきます。
この話題は短く伝えることが難しいですが、簡単に述べます。
中国政府が目指すものは「大中華圏」の実現です。
中華思想により、中国を世界の中心地とし、その周辺の他国を支配する政治的戦略です。
香港はもともと中国の国土です。
しかし、いままでイギリス領として「自由主義」と「民主主義」を味わってきました。
それによって繁栄しました。
その二つの思想は共産主義とは相反します。
共産党としてはそれを認めることが出来ないものです。
中国で一部導入されている自由経済の原理は、本丸である共産主義を守るために使われているだけです。
本気で自由な経済活動を主体としたいわけではありんせん。
そして、中国共産党が狙うのが香港の完全なる支配です。
香港から「自由主義」「民主主義」を追い出して中央政府の完全なるコントロール下に置くことです。
それが完了したら、次に狙うのが台湾です。
台湾はどう見ても中国本土とは別の国家です。
ですが、中国本土の政府は自国の領土であると主張しています。
中国共産党は台湾を自国の支配下に置き、その海域を支配することを狙っています。
さらに、朝鮮半島を北朝鮮の政治体制により統一することを狙っています。
香港、台湾を支配し、朝鮮半島が中国共産党の同類となったとき、次に中国共産党が狙うのは、「日本」です。
そこまで中国共産党は国家戦略としてすでに描いています。
つまり、日本がウイグル自治区やチベットのように中国共産党によって支配されることが、香港革命の延長線上にあるのです。
(もちろんいますぐではない)
日本人は先人たちが命を掛けて日露戦争をした真の意味を正しく理解すべきです。
なぜ、勝てる見込みのないと思われていた大国ロシアと列強の仲間入りをしたばかりの日本が戦争をしなければならなかったのか?
それはロシアで革命がおき、共産主義が広がり、その手が日本に及ぶ懸念があったからです。
日本がロシアの共産主義支配の手から逃れるためには、朝鮮半島に共産主義ではない思想を持つ国家が必要だったのです。
(防衛線という意味)
つまり、中国東北部でロシアの南下を防ぐことができなければ、日本がロシアの支配下に置かれてしまうと考えて大国ロシアと戦ったのです。
あの時代の人たちが命を掛けて大国と戦争をすることで日本の未来を守ったのです。
また、明治維新が起きた理由も同じです。
欧米列強の植民地支配はアジアの中国まで延びていました。
西から西洋の帝国主義、東からは大国アメリカが、日本を植民地にしようと迫っていたのです。
日本がアフリカやアジアの国のように欧米列強の植民地となることを避けるために、若者たちは立ち上がったのです。
徳川幕府では欧米列強と対等に戦えない。
だから、新しい政府を作って、近代化し、欧米列強と肩を並べることで、欧米列強の植民地支配から逃れることを目指し、見事実現したのです。
日露戦争は明治維新の延長線上にあった出来事なのです。
もし、幕末期に若者たちが立ち上がらなかったら、徳川幕府のままだったなら、大国ロシアと命がけで戦っていなかったら、今日アチキたちが享受している日本の繁栄はなかったでしょう。
香港の時代革命を観ていると、日本の明治維新もこうして起きたのだと思い知らされます。
そして、香港の時代革命が成功するかしないかは、日本の未来に大きな影響を与えてしまいます。
日本人は島国特有の狭い価値観を持っていますが、国内だけではなく、他国の動向を正しく理解することが必要です。
それなくして、未来の日本の繁栄はありません。
【ご意見番からのメッセージ】
会社でも政治集団でも、集団または組織と呼ばれるものには、長い年月が経つことによって必ずある法則(力)が生じてきます。
その集団、組織に働く力とは、「組織そのものを維持しようとする力」です。
「組織や集団の維持」が目的となってしまうのです。
その組織や集団が持っていた本来の目的をどこかにおいてきてしまい、集団そのもの、または集団(組織)の権力を維持することが目的となり果ててしまうのです。
これを一般的には大企業病と言います。
この力が強く働く組織を官僚的組織といいます。
自由と本来の目的を見失った集団の末路です。
いま、検事長の問題が世間を騒がせていますが、この記事を読めばアチキの考えがわかるはずです。
日本の自由な未来を守るために日本人が成すべきことは?
香港の時代革命を支援することです。
台湾を独立国家として認め、手を結ぶことです。
そして重要な外交は「インドと軍事同盟を結ぶ」ことです。
さらにイギリスと「日英同盟」を復活させるのです。
アメリカとの同盟を強固なものとすることです。
ロシアとは、通商条約を結ぶことです。
外交戦略なくして、日本の未来は守れません。
これが出来ない日本の政府なら、幕末期と同じように、倒幕し、新しい政府をつくるべきなのです。
お読みくださって、うれしうござんす。