『国際法から観た領土紛争1【竹島編(前編)】 ~竹島の領有権問題は、すでに答えが出ている!~』

はじめに

戦争の原因のひとつが「領土問題(紛争)」です。
では、日本には領土問題はありますか? ありませんか?

もし、領土問題が他国との間であるならば、それは戦争の火種のひとつであると認識している国民がどれだけいるでしょうか?

このカテゴリーは「国際法から観た世界」なので、国際法を物差し(指針)として考えてみます。
多少難しい内容を含んでいますが、国家防衛、または家族を守りたいと考えている人はぜひお読みください。

なぜこうした問題を取り上げるのか?
それは「いま、国家危機を国民が真剣に考える必要がある」と思っているからです。

国際法とは何か?

《領土問題の解決には国際法によるべき》

前回の記事で国際法の基礎として、「国際法とは国家間のルール」だと説明しましたが、領土問題などの国際紛争問題は原則、国際法に基づいて判断、処理するべきなのです。
なぜなら、国内法に基づいて各国が判断、処理すれば、紛争は解決する術(すべ)がなくなり、最悪、武力による解決しかなくなるからです。

我が国(日本)における緊急の領土問題とは2つ。
「竹島」と「尖閣諸島」です。

竹島における領有権(領土権原)の問題

《竹島は日本の領土》

竹島(島根県)は日本海にある無人島です。
韓国のウルルン島(鬱陵島)と隠岐諸島との中間に位置する島。
日本人のほとんどが竹島は日本の領土だと思っているのではないでしょうか?
しかし、韓国人のほとんどは韓国の領土だと信じているのではないでしょうか?
この問題は、明らかに国際紛争の種です。

〈外務省(政府)の公式見解〉

外務省のHPから政府の竹島における「公式見解」を紹介します。

外務省HPから引用

引用1

我が国が古くから竹島の存在を認識していたことは、多くの古い資料や地図により明らかになっています。17世紀初めには、日本人が政府(江戸幕府)公認の下、鬱陵島に渡る際、竹島を航行の目標として、また船がかり(停泊地)として利用するとともに、あしかやあわびなどの漁猟にも利用していました。遅くとも17世紀半ばには、我が国の竹島に対する領有権は確立していたと考えられます。

引用2

我が国は1905(明治38)年1月の閣議決定により竹島を島根県に編入し、領有意思を再確認するとともに、その後官有地台帳への登録、あしか猟の許可、国有地使用量の徴収などを通じた主権の行使を他国の抗議を受けることなく平穏かつ継続して行いました。
こうして既に確立していた竹島に対する我が国の領有権が、近代国際法上も諸外国に対して明確に主張できるようになったのです。

引用3

第二次世界大戦後の我が国の領土処理等を行ったサンフランシスコ平和条約(1951年9月8日署名、1952年4月28日発効)の起草過程において、韓国は、同条約を起草していた米国に対し、日本が放棄すべき地域に竹島を加えるように求めました。しかし、米国は、「竹島は朝鮮の一部として取り扱われたことはなく日本領である」として韓国の要請を明確に拒絶しました。

引用4

しかし、サンフランシスコ平和条約発効直前の1952年(昭和27年)1月、韓国は、いわゆる「李承晩ライン」を一方的に設定し、そのライン内に竹島を取り込みました。これは明らかに国際法に反した行為であり、我が国として認められるものではない旨、直ちに厳重な抗議を行いました。それにもかかわらず、韓国は、その後、竹島に警備隊員などを常駐させ、宿舎や監視所、灯台、接岸施設などを構築してきました。このような韓国の力による竹島の占領は、国際法上一切根拠のないものであり、我が国は、韓国に対してその都度、厳重な抗議を行うとともに、その撤回を求めています。こうした不法占拠に基づいたいかなる措置も法的な正当性を有するものではなく、また領有権の根拠となる何らかの法的効果を生じさせるものでもありません

『外務省HP』へのリンク

《ポイント》

多少難しいので、ポイントを整理します。

〈日本国側の根拠〉

多くの古い資料や地図により、17世紀半ばには、我が国の竹島に対する領有権は確立していた。
1905(明治38)年1月の閣議決定により竹島を島根県に編入した。
サンフランシスコ平和条約1951年9月8日署名、1952年4月28日発効)の起草過程において、米国は「竹島は朝鮮の一部として取り扱われたことはなく日本領である」と認めている。

〈韓国側の根拠〉

「李承晩宣言」により領域主権の行使により、日本の立ち入り禁止区域に竹島を含めた。
1952年(昭和27年)1月、韓国は「李承晩ライン」を設定して竹島を取り込んだ。
(サンフランシスコ平和条約発効直前)

《竹島問題で取った日本の措置とは?》

知らない人もいるかもしれませんが、日本は竹島問題に関して何もしていないわけではありません。
日本は国際司法裁判所に付託(訴える)しようとしました。
しかし、韓国はそれを拒否しました。
日本国は、再三にわたってそのことを抗議しましたが、韓国は国際司法裁判に応じていません。

注:国際司法裁判所は国際機関の一つですが、国際裁判をする条件として双方の国家の同意が無ければ国際司法裁判所が扱えないという法の欠陥がある。

日本は国際司法裁判所で決着をつけようとしましたが、韓国はそれに応じなかったことで国際社会では「国際紛争」として認識されない、という事態となってしまいました。
これは明らかに国際法の抜け穴を使った韓国の悪意ある行為です。

このように国際法とは、そのほとんどが各国家を強制的に従わせる法ではなく、各国家が自国を有利にするために使用しているのが実情なのです。

国際法から観る領土問題のポイントとは?

《領域権原の3原則とは?》

領域の権利(領域権原)には3つの原則があります。

1.「禁反言」
2.「時際法」
3.「黙認」

〈「禁反言」とは?〉

「禁反言」とは、後になって前言を撤回することを禁止することです。
後出しジャンケンのように、後になって約束した前言を撤回し、それによって相手に何らかの損害を発生させることはしてはならない、という国際ルールのことです。
別の言い方をすれば、前後して矛盾する言動を取ることを禁じるということです。

〈「時際法」とは?〉

「時際法」とは、遡及効を否定する原則です。
遡及効とは、ある法が施行される以前までさかのぼって効力を持つことです。
要するに、ある事件(問題)が起こった際に適用されるべき法は、その事件(問題)が起こった時点での法でなければならないという原則のことです。
(これは国内法でも同じ)

もう一度言います、ある行為(紛争など)の法的判断には、それがなされた後に施行された法ではなく、行為がなされた当時の法が用いられるべきである、という国際ルールです。

〈「黙認」とは?〉

「黙認」とは、黙示的承認や了承のこと。
簡単に言うと、「口に出して明言はしないが、ある事実を認めている」ということです。

これを領土問題に当てはめると、他国が自国の領土の一部を支配している事実を知っていながら、あえて何もいわずに放置しておく状況は、自国が他国による支配を黙認したと考える、というもの。
他国に自国の領域の一部を支配されていることに対して抗議しなければ、それは他国による支配を認めているとされてしまう、ということです。

〈領域権原について〉

領域における国家間の問題が発生したときに重要なことは、特定の領域が自国の領土である根拠(領域権原)をあげ、それが認められる必要があるのです。
しかも、他国の領域権原が否定され、自国の領域権原のみが正当であると認められる必要があるのです。

『【竹島編(後編)】竹島を取り戻すために必要なこととは?』につづく。

最後までお読みいただき、ありがとうござりんす!


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