『「あだ名」禁止の教育にもの申す!【修正改訂版】 ~ニックネーム(愛称)による教育を推奨する提言!~【前編】』

目次

【修正改訂の理由について】

昨年の夏に投稿した記事『「あだ名」禁止の教育にもの申す!~ニックネーム(愛称)による教育を推奨する提言!~』(【前編】と【後編】)を今回、修正および加筆して改訂として世に出すことにいたしました。

理由は、「あだ名禁止ルール論争」の元となった、ある小学校の教頭先生から直接ご連絡をいただき、その話を聞いて、TBS系『グッとラック!』の報道が「偏向報道」であり、「情報操作」があったとご意見番が判断したからです。

そこで、TBS『グッとラック!』に抗議するとともに、報道された関東のとある県の小学校の名誉を守りつつ、再度、ご意見番の意見を発信することといたしました。
(現在、以前の記事は“不表示状態”となっています)

ご連絡をいただいた教頭先生は、テレビ局の取材に応じた当事者です。
アチキは、その教頭先生の言葉から「教育に対する情熱」を感じました。
教頭先生の情熱に尊敬の念を持ったため、報道された小学校の名誉と教頭先生のプライバシーを保護する内容の記事に修正することといたしました。

そこで分かったことは、TBSが都合の良いように編集して、取材した教頭先生の言葉を正確に伝えていない、というものでした。
それが修正する理由です。

さらに、その後調べたこと、そのときに書けなかった論点を加えたい、という思いから【修正改訂版】を世に出すことにいたしました。
決して、クレームが入ったから修正したのではありません。
「あだ名禁止ルール論争」に対するご意見番の結論には変更がないことを先に述べておきます。
脅しや誹謗中傷があれば、それは記事のネタとして使用するのがご意見番のやり方です。
民主主義社会であれば、議論はあるべきであり、言論の自由は守らなければならないからです。

【TBS系情報番組『グッとラック!』にもの申す!】

TBSに限りませんが、現代のマスメディア、特にテレビ局は「偏向報道」と「情報操作」が目に余ります。
また、「やらせ」も多く、報道機関として正しい情報を伝える機能を果たしていません。

テレビ局等による「偏向報道」「情報操作」「やらせ」などには何度でも記事にして反省と改革を求めます。

《関東のとある県の私立小学校のあだ名禁止ルール報道の間違いについて》

取材元となった小学校の校名とインタビューに応じた教頭先生の名前は、そのニュースをご覧になった方ならお分かりと思いますが、今回の記事では上記で示したように固有名詞を使用しないようにいたします。

そこで呼び名がないと不便なため、便宜上、小学校を「梅小学校」、教頭先生を「熱血先生」と呼ぶこととします。
(どうしてご意見番が「梅」という言葉を使用したのかは、その地域に詳しい方ならお分かりかと思います)

〈熱血先生から頂いた、「番組では取り上げられなかった」内容について〉

1.
番組ではあだ名と愛称(ニックネーム)の区別を明確につけずに放送及び議論していた。
(『グッとラック!』では、あだ名と愛称の両方を含めて「あだ名」としていた)
これによって、熱血先生の主張と、出発点において論点がズレてしまった。
熱血先生及び梅小学校では、あだ名と愛称の区別は理解している。

2.
梅小学校及び熱血先生の主張では、「相手を蔑視した人権侵害にあたるあだ名を望ましくないとしているのであって、愛称を批判するのではない」という点が明確に報道されなかった。
「あだ名で呼んだりするような横柄な人間ではなく、謙虚でコミュニケーションの取れる人間になってほしいと願っている」という意見を放送で正しく伝えていない。

3.
熱血先生の認識では、「あだ名を禁止すればイジメがなくなるわけなどない」「さまざまな理由があってイジメが発生して、それが改善できない場合に深刻なものとなっていく」という教育指針を持っているのに、TBSはこの重要な情報を論争の前提としなかった。

4.
熱血先生の話では、「嫌なあだ名を止めて欲しいと訴える」ことが出来ない子がいる。
そうした場合も考えて「あだ名禁止ルール」をもうけている。
TBSはそうした点を深く掘り下げていない。

5.
熱血先生によると、「さん付け」は相手を尊重する呼び方であり、品位品格を持った人間に育てる理由があって「さん付け教育」をしている。
この点もTBSは深く掘り下げていない。

以上、重要な点だけをお伝えしました。

さて、ここから先はご意見番の「あだ名禁止ルール」に対する本編となります。
以前の記事と重複するところが多々あります、ご了承ください。

【学校で「あだ名」が禁止?】

《あだ名禁止は意味があるか?》

近年、小学校などで生徒(児童)が友だちを「あだ名」で呼ぶことを禁止する動きが広まっている。
あだ名をつけることが「イジメにつながる」という理由であだ名を禁止する学校が増えている。

ご意見番の子どもの頃と違い、昨今の学校現場では教師が児童(生徒)を名字で「○○さん」と呼ぶ。
だが、児童同士では、「呼び捨て」または「あだ名」が普通である。
「あだ名」を禁止するとは、子どもに大人のようにふるまえということなのか?

この論争の最重要論点は、結局、「あだ名があるからイジメが起こるのか?」「あだ名を禁止すればイジメがなくなるのか?」という点にある。

もし、あだ名で呼び合うことを禁止してもイジメ防止につながらないのならば、こうしたルールを作る意味は、ほぼ無いに等しい。
そもそもあだ名で呼び合うからいじめが起こるという明確な根拠がないのならば、あだ名を禁止する理由にはなり得ない。
また、品位やコミュニケーション能力を育てるための教育に「さん付け」で呼び合うことに効果があるのかということは現時点では立証されていない。
(その立証には子どもが成長した数十年の時間観察が必要となる)

現実は、「良いと思う子供」と「不満に思う子供」がいて、世間の人たちも賛成と反対の意見がある。

《学校組織は文部科学省の影響下にある》

ここで学校という組織を考えるには、忘れてはならない点がある。
それは各学校を指導する立場の文部科学省だ。

後で述べるが、2013年施行のいじめ防止対策推進法によって、2017年に国からイジメの早期発見のガイドラインが発信されている。
そこで文部科学省は、「イジメの早期発見のために子どものあだ名や呼び名に気を配ること」を重視している。
これを現場の学校が無視するはずがない。
私立であろうが公立であろうが、上部組織である文部科学省の考えは大きく影響していることは間違いない。

【「あだ名」禁止の理由は?】

《「あだ名」禁止の理由》

多くの小学校であだ名を禁止する理由は、「あだ名をつけることがイジメにつながるから」である。
実際に過去に自殺につながったイジメ事件などで「嫌なあだ名で呼ばれた」という被害者の報告がある。

《「あだ名」禁止の動き》

全国教育問題協議会によると、あだ名禁止の動きの経緯は以下の通り。

学校での「あだ名禁止」の動きは、イジメ全盛の1990年代後半から見られ始めた。
イジメ事案では「嫌なあだ名で呼ばれた」という被害者の言葉が必ず出てくるのでイジメ防止の観点から「あだ名禁止」の気運が高まった。
2013年施行のいじめ防止対策推進法、2017年発表の国のガイドラインを受け、イジメの早期発見のために子どものあだ名や呼び名に気を配ることが重視されるようになった。
学校で男女ともに「さん付け」が主流になった背景はLGBT(性的少数者の総称)の主張が拡大し、ジェンダー尊重の考え方が出てきたり、「さん付け」で子ども同士のトラブルが減ったという教師の報告もある。

【「あだ名」禁止の世間の反応は?】

「あだ名禁止」の世間の反応は賛否両論に分かれている。

《「あだ名」禁止に賛成の声》

「あだ名」禁止に賛成の意見は?

「コンプレックスを持つ特徴をあだ名にされてしまう」
「嫌な思いをしなくて済む」
「子どもの身を守ることになる」

など。

《「あだ名」禁止に反対の声》

「あだ名」禁止に反対の意見は?

「学校が決めることではない」
「あったほうが親しみを感じやすくなる」
「コミュニケーションを円滑にする」

《嫌なあだ名をつけられイジメを受けた経験がある中川翔子さんの意見》

芸能界からも意見が出されている。

「しょこたん」というニックネームでおなじみの中川翔子さんは、中学生時代に「ゲロマシーン」というあだ名をつけられイジメを受けていた体験を明かしている。
当時、胃が弱くストレスから嘔吐してしまうことがあり、それがきっかけであだ名をつけられたという。
中川翔子さんは、その心の傷は今も癒えておらず、乗り越えられていないと語っている。

注目すべきはこうした経験を持つ中川翔子さんが「あだ名禁止」に反対していることだ。
中川翔子さんによれば、嫌なあだ名をつけられて傷ついた以上に、あだ名(この場合はニックネームをさす)に救われた経験があるからだという。

中川翔子さんはこう語った。

「私は反対、ちょっと極端かなと思います。『しょこたん』というあだ名に感謝しています。多くの人に知ってもらうことができたし、今の子どもたちも『しょこたん、がんばれ!』って言ってくれる。」

「だから、あだ名が悪い、とかそういうことではないと思います問題は攻撃する人がいる状況。そこに先生がもうちょっと個別に向き合えないのかな」

「あだ名=イジメじゃない」

《あだ名禁止に関するあるアンケート調査では?》

あだ名禁止に関するあるアンケート調査があります。

あだ名禁止ルールに賛成=18.5%
あだ名禁止ルールに反対=27.4%
どちらでもない=54.1%

ただし、このアンケート調査は調査の母体や集計方法などに問題があるとの指摘もあります。
一つのアンケート結果として捉えてください。

【東京学芸大学付属小学校・沼田教諭の意見を紹介】

プレジデントオンラインの記事で、東京学芸大学付属世田谷小学校の沼田昌弘教諭が「あだ名禁止ルール」について語っているので、少しだけ紹介する。

沼田先生はこう述べています。

以下引用

「ボクは、違和感を覚えました。あだ名だけを禁止すれば、すべてのいじめをなくせるのか。仮に禁止したとしても教師の目の届かない場はどうするのか。そもそも、あだ名は、イジメの原因になるのか、と」

もちろん、世田谷小学校では、あだ名を禁止していません。

沼田先生のクラスの事例を紹介します。
男子生徒で、電車の車内アナウンスを耳コピし、見事な音声で再現する子を称賛して「鉄道ダリン」と呼んでいる。
同じく男子生徒で、残った給食を食べてくれる頼りになる子を称賛して「給食エース」と呼んでいる。

どちらも、愛着が込められている呼び名であり、その子の才能、個性を認め称賛する意味が含んだ呼び名(愛称)となっています。
本人もそう呼ばれることで自信がつき、人間関係にも積極的になれるはずです。
また、自慢の種でもあります。

あだ名を全面的に学校側が禁止するということは、こうした喜びを子どもたちから奪うことでもあるのです。
こうした「呼び名(愛称)」は、決して教師が与えられないものなのです。
そして、生涯残るその子にとっての思い出と宝物です。
子どもたちから生涯残る宝物を取り上げている事実をもっと重く受け止めるべきでしょう。

結局、それを奪うほどの理由が「あだ名禁止ルール」にあるのか、ということです。

【「あだ名」を推奨する学校もある】

《「あだ名」を推奨する学校》

あだ名禁止をする学校が増えている一方で、反対に積極的に「あだ名」を推奨している学校もある。
長野県にあるグリーン・ヒルズ小学校では、児童間だけではなく、教師に対してもあだ名で呼び合う。

グリーン・ヒルズ小学校の田中節子副校長はこう語っている。

「みんなで呼ばれたい名前、呼びたい名前を相談します。ニックネームで呼び合うことで親近感や連帯感が生まれます」

「○○さんと呼べばイジメがなくなるという問題ではない。物を取り合ったりしている時、呼び方がニックネームから呼び捨てになりケンカ腰になるということもあります。教師が『本当にいい呼び方だったかしら?』と問いかけ、クールダウンして考えてもらいます」

(グリーン・ヒルズ小学校は、学校法人いいづな学園の私立小学校)

【全国教育問題協議会からの苦言】

一般社団法人全国教育問題協議会常任理事の山本豊氏の見解を紹介する。

「こういう禁止は馬鹿げているし、実効性がない」
「学校がいくら禁止しても、あだ名はなくならない。それは子どもたちのコミュニケーションにとって不可欠なツール(道具)だからだ」
「学校で教師が見ている場所では、あだ名を使わなくても、子どもたちは、おけいこ事、学習塾、あるいは郊外で遊んでいるときには、あだ名で呼び合う」

「児童間で『さん』『くん』と呼ぶことを義務づけるのも間違っている。丁寧な言葉を使っていても、腹の中では相手を馬鹿にしている慇懃無礼(いんぎんぶれい)な人間を筆者は外務相で多数見てきた」
「小学校のころからミニ外務省のような文化を身につけても、善い大人に育つとは思えない。あだ名を禁止することが教育だと考える発想に根本的な間違いがある」

「子どもの言語表現については、他者に危害を加えるものを除いては自由にするべきである」

「人の名を呼ぶときは男も女も『さん』と呼びなさい。あだ名は禁止ですと指導する教師にその理由を聞くと『丁寧な言葉遣いはイジメ防止になる』そうだ」
「しかし、子どもは先生の前では言わないけれど、同級生同士は、うまいあだ名をつけるのが自然であろう。」

「文科省のトップだった前川喜平氏の座右の銘は『面従腹背』。つまり『表は笑顔で接するが、腹の中は反抗する』だが、本音と建て前を子どものうちから使い分ける教育にならないか心配だ。もちろん『チビ』『デブ』といったあだ名は禁止するのが当然であろう」

(一般社団法人全国教育問題協議会公式ホームページより)

【「あだ名」と「ニックネーム」の違いとは?】

「あだ名」と「ニックネーム」はどう違うのか?
日本語と英語の違いじゃね~の?
なんて言わないでくださいね!

《「あだ名」とは?》

〈辞書に載っている意味では〉

「あだ」とは他・異の意。本名とは別に、その人の容姿や性質などの特徴から、他人がつける名。ニックネーム。あざな。

〈ご意見番が考える意味では〉

「あだ名」とは、身体的特徴、個性などから基本的に他人が勝手に付ける「呼び名」。
他人が勝手につける名なので、そこに嫌悪や貶める意図を含む場合と好意や善意を含むものの両方が混在する。
要するに、自分で名乗る名ではないというもの。

そして、「あだ名」には、本人が公認する「あだ名」と、本人が否定する「あだ名」がある。
公認と言っても、積極的に良い名だと感じるものと、仕方がないので渋々認めている、あるいはそう呼ばれても放置している、というものもある。
渋々か喜んでかの違いはあるものの、本人が認めている「あだ名」がある。

それに対して、侮蔑的意味や差別的意味を含むあだ名もある。
これは当然イジメの一形態である。

「あだ名」を認識するにあたって重要なことは、「他人が勝手に付ける名である」ということだ。

《「ニックネーム」とは?》

〈辞書に載っている意味では〉

とくに親しみを込めて対象を呼ぶために用いられる本名以外の名。
愛称、あだな(渾名、綽名)。

〈ご意見番が考える意味では〉

「ニックネーム」とは、基本的に他人が好意的につける呼び名
または、本人が自分で自分を表現するためにつける名

ただし、広義には「良い意味のあだ名」は、この「ニックネーム」と同義となる場合が多い。
つまり、「あだ名」ではなく、「ニックネーム」と呼ぶ場合、そこに好意(愛情)や良い意味での個性の表現があるということ。

《「徒名・仇名(あだな)」と「綽名・渾名(あだな)」の違い》

一口に「あだ名」と言っても漢字で書くと「仇名」「徒名」「渾名」「綽名」と4種類もある。

この4つの中で、「仇名」「徒名」は、悪評(悪い意味)や事実無根の評判、男女関係についての噂を意味する語で、本来の「あだ名」である「渾名」「綽名」とは意味が異なる。
要するに、「あだ名」という言葉には「悪い意味」と「良い意味」、または「他人を貶す表現」と「他人に愛情を示す表現」との2種類がある、ということだ。

中川翔子さんの例で言えば、「ゲロマシーン」が「あだ名(本人非公認の)」で、「しょこたん」がニックネームとなる。
つまり、「あだ名」と違って「ニックネーム」には、悪意や差別的意味は、ほぼ含まれないということだ。

(注)本当は、「あだ名」も「ニックネーム」も同じ意味ですが、あくまでも実際に使用されている生活実感、実際のニュアンスから考えたものです。

《仮想世界やSNS上ではニックネームが当たり前の社会となっている》

「あだ名」が嫌なものであるならば子どもたちは本名以外でなんと呼ばれたいのか?
実は、子どもたちは本名以外の名で呼ばれるという体験をすでにしている場合が多い。
それがゲームやSNSの世界だ。

インターネットの掲示板やmixiなどの時代から本名を使っている人はほとんどいない。
ハンドルネーム、ニックネームを名乗り、呼び合うものだ。
事実、ブログ運営やYouTubeでも本名を名乗っている人は非常に少ない。

ブログやYouTubeで本名を名乗っているのは、すでにその名を知られている芸能人(ただし本名を使っている芸能人)か、ビジネスをしている人たちに限られる。
趣味や娯楽などのブログやYouTubeでは、ほぼニックネームで運営されている。

そこに何があるのか? というと、
「本名とは違うニックネームを持つことによって別人格になれる」
「親しみやすさを演出する」
「自分で自分を表現する喜び」
なのだ。

日本にはすでに「源氏名文化」が根付いている。
「あだ名」が禁止だとすると、自分で名乗る「ニックネーム」も禁止なのか?
良い意味を含むあだ名には、本人が発想できない名前が付けられることもあり、それが喜びをもたらすこともある。
また、明らかに親密感も高まる。

いくら「あだ名」を禁止しても「ニックネーム文化」「源氏名文化」を否定することは現代社会では不可能だ。

『「あだ名」禁止の教育にもの申す!【修正改訂版】 ~ニックネーム(愛称)による教育を推奨する提言!~【後編】』につづく。

最後までお読みいただき、ありがとうござりんした!


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