『コラムニスト伊是名夏子氏の「乗車拒否された」発言炎上騒動にもの申す!【前編】 ~伊是名氏が要求した「合理的配慮」は妥当か?~』

はじめに!

SNSなどでコラムニストの伊是名夏子氏の「乗車拒否された」発言が炎上している。
その炎上騒動に関して記事を書くことにしたが、はじめに言っておくことがありんす。
伊是名夏子氏に言っておく!
ここにある内容は、誹謗中傷ではなく、個人の意見であり、個人の信条における批判である。
事実をもとにして、法的に問題がないかを精査するものである。
同時に、人間としての正しいあり方からみて論じるものである。
(この記事を書くにあたって、Twitter、伊是名氏のブログの記事、ニュース記事などを読み込みました)

さらに言うと、伊是名氏が主張する“世間からの誹謗中傷”(Twitterなどのコメントなど)を出来る限り読んでみた感想は、「しごくまっとうな意見」「的確な批判」と感じた。
アチキが読んだ限り、誹謗中傷はほぼ見つからなかった。
世間ですでにさんざん伊是名氏の言動に対して批判がされているので、ご意見番としては騒動の核心部分である「合理的配慮」と「気になったところ」を伊是名氏への反論とする。
正当な批判を誹謗中傷とすり替えて被害者面することは、ますます世間からの反発と非難を浴びる、ということをいい加減に気がついた方がいいだろう。

コラムニスト伊是名夏子氏「JR乗車拒否」炎上騒動!

《JRの乗車拒否騒動とは?》

コラムニストの伊是名夏子氏はコロナ禍のさなかの4月1日~2日に、友人・ヘルパー・子ども2人の計5人で来宮神社(静岡県熱海市)に観光旅行した。(電動車いすで)

問題は、小田原駅で起きた。

目的地の最寄り駅である来宮駅(きのみやえき)無人駅で改札口とホームの間の連絡手段が階段しかないことから、駅員から有人駅でありバリアフリー化されている熱海駅からタクシーでの移動を推奨された。
だが、伊是名夏子氏は、障害者差別解消法を根拠にして「合理的配慮」を求め、駅員3~4名を集めて電動車いすを運ぶように要求した。

この際、急に人員を確保できないと主張するJR側との交渉中に新聞社数社に取材を要請した。
すったもんだの末(1時間の交渉)に、熱海駅に向かい、小田原駅から連絡を受けていた熱海駅の駅長と係員の4名が急遽出迎え、来宮駅まで同行した。
4名は、階段を降りる際に、100㎏超の電動車いすを手持ちで運搬した。

旅行から帰宅後、伊是名氏は、「JRで車いすは乗車拒否されました」と題して自身のブログとTwitter(4月4日)でJR駅員の対応を非難し、なおかつ拡散を呼びかけた。

伊是名氏の「合理的配慮」は妥当か?

《合理的配慮とは何か?》

伊是名氏が根拠とした法律は、「障害者差別解消法」
正式には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」

この法律の目的は、「障害のある人もない人もお互いにその人らしさを認めあいながら共に生きること」を目指すもの。

この「障害者差別解消法」は、障害者の人への差別を解消することを目的としているが、そのキーワードが「合理的配慮」なのだ。

〈「合理的配慮」とは?〉

専門文書から引用

「合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のこと」

「障害のある人が障害のない人と同様に社会活動に参加し、自分らしく生きていくための、必要な調整をすること」

要するに、障害のある人でも何らかの困難な状況を抱えている人でも、周りの環境を整えたり、適切なサポートを受けたりすることで、いままで出来なかったことができるようになる。
そのために手助けなどをすること。

〈「合理的配慮」の法的根拠〉

「合理的配慮」の法的根拠は、「障害者の権利に関する条約・第2条」

「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものである」

《合理的配慮の背景》

「合理的配慮」という考えが広く世界的に普及してきた背景には、2006年に国連総会で採択された「障害者権利条約」による影響です。

この条約の第2条「障害に基づく差別」が定義されている。

「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む)を含む。

(外務省:「障害者権利条約」より)

それにしても分かりづらい文章でありんすな~!

〈ポイント1〉

この条約の内容で重要なことは「合理的配慮の否定」も「障害に基づく差別」であると定義されたことです。
少し砕いた言い方をすると、「障害のある人に必要な配慮を、出来るのにやらない、ということは差別だ」ということ。

《「合理的配慮」と「不当な差別的取り扱い」の違い》

伊是名氏が主張した「障害者差別解消法」のポイントは2つある。
一つは「不当な差別的扱いの禁止」で、二つ目が「合理的配慮の提供」

国際条約の批准に際して日本で制定・施行された「障害者差別解消法」では、行政機関や民間企業等の事業者に対して、「障害を理由とした不当な差別的取り扱いの禁止」「合理的配慮の提供義務」が課されている。

ですが!

〈ポイント2〉

「不当な差別的扱い」は、行政機関・民間事業者を問わず、法的に禁止されています。
一方、「合理的配慮の提供義務」に関しては、国や地方の行政機関は法的義務ですが、民間事業者は“努力義務”となっています。
行政機関と民間企業では、「合理的配慮」に違いがあるのです!

〈まとめ〉

行政機関等においては「合理的配慮」は義務

行政機関とは、主に各省庁であり、他に独立行政法人、地方公共団体、地方独立行政法人など。

民間企業等においては「合理的配慮」は、“努力義務”

民間企業等とは、商業その他の事業を行うものなど。

《「不当な差別的取り扱いの禁止」とは?》

「不当な差別的扱い」とは、「障害者に正当な理由なく障害を理由として差別すること」です。
具体的には、正当な理由なく障害を理由として「サービスを提供しない」「時間や場所の制限などをつけてはならない」などです。

伊是名氏の主張はこのへんを根拠にしていると思われます。

《「合理的配慮」とは?》

「合理的配慮」とは、「障害者が社会生活する上で直面する事物、制度、慣行、観念などの障壁(バリア)を取り除く、つまり障害者が障害を持たない人と同じことができるように、障害者が対応を求めた場合、“負担が重すぎない範囲”で対応しなければならない」というもの。

この場合の「負担が重すぎない範囲」(サービスを提供する側の)とは、障害がない人と全く同じ対応ができない場合できる範囲の配慮(工夫)をすることと、そのような対応をすることを相手に伝え了承を得ることが含まれている。

〈ポイント3〉

「合理的配慮」は、サービスを提供する側が、「負担を超えた場合」あるいは「重すぎる負担」である場合は、可能な範囲の対応をし、それを伝え、了承を得ることで、申し出をした障害者の期待通りのサービスが提供されないことがある、ということを意味しています。
「重すぎる負担」とは、物理的、人員的、制度的、システム的に無理がある場合です。

《「合理的配慮」の重要ポイントとは?》

「合理的配慮」とは、一人ひとりの困りごとの場面に合わせた個別具体的な対応であるという性質を持っています。
実際に行われる合理的配慮の内容は、障害のある本人と周囲の環境によってさまざまに異なる。
つまり、ケースバイケースであり、マニュアル化、単純化はできない、ということです。

《「合理的配慮」の決定プロセス》

実際の合理的配慮の内容は、障害のある本人と周囲の環境によってさまざまに異なるため、以下のプロセスを踏むことが重要となる。

  1. 本人や保護者・介助者から必要な配慮に関する意思表明をすること。
  2. 行政・企業などがどんな配慮ができるか検討し、本人と話し合うこと。
  3. どんな場面でどんな配慮ができるか、お互いに合意したうえで実施すること。
  4. 配慮を実施したあとも、定期的にその内容や程度について見直し・改善をすること。

要するに、「合理的配慮」とは、配慮を必要とする本人による意思表明があり、配慮を実施する事業者との対話と合意によってなされるもの、ということ。

《「合理的配慮」が提供されない場合とは?》

障害者が合理的配慮を求めても、合理的配慮が得られないケースも当然あります。
「障害者権利条約」では、合理的配慮を受けられないケースが示されています。

同法第2条では、合理的配慮を「特定の場合において、必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」としているのです。

合理的配慮の「合意的」とは、サービスを提供する側と障害者の相互に合意するという意味となります。

〈ポイント4〉

要するに、「合理的配慮」には、「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」という制限が設けられている、ということです。
ですから、一方的に障害者側の要求がそのまま受け入れられる訳ではないのです!

《「合理的配慮」の名のもとに「配慮」が強引に強要されると?》

ある人に対して、サービスを提供する側の能力を超えるような過度な負担(特定の配慮)を行なおうとすると、他の人たちの生活や活動が困難又は支障がでるほどの影響が生じる可能性がでてきます。

つまり、障害者の申し出を何から何まで無条件に「配慮」という名のもとに行ってしまうと、障害者ではない利用者が本来受けられるサービスを受けられなくなるといった状況が生じてしまう可能性があります。

〈ポイント5〉

「合理的配慮」を求められても、「過重な負担」である場合、それを理由として配慮を求めた本人にその理由を説明することで、「合理的配慮」を無理に実行しなくてもいい、ということです。

(ただし、その場合は、次善の策を講じる努力が求められる)

(参考情報、「仕事ナビ」「atGP」など)

『【後編】~伊是名氏が誹謗中傷(?)されないためにすること、とは?~』につづく。

最後までお読みいただき、ありがとうござりんした!


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