『福岡県及び佐賀県の中学校の校則を調査した弁護士会によって明らかにされた生徒への人権侵害【前編】 ~学校の人権侵害とは?~』

福岡県福岡市の市立中学校の校則について弁護士会が調査した結果に驚愕!

《弁護士会が福岡県福岡市立中学校の校則の調査を実施》

福岡県弁護士会は、市に対して情報公開請求をして、福岡市内の市立中学校全69校校則を調査した。(発表は12月22日)
調査では、複数の生徒、保護者、教職員への聞き取りを実施し、生徒手帳などに書かれていない校則などがないか“体験”“見聞きしたこと”を含めて調査を行った。

《福岡県弁護士会による調査結果》

弁護士会による校則に関する調査が明らかになった。

〈福岡市内の全69校が生徒手帳などで明記している校則は?〉

「髪形」「髪の長さ」を規定しているのが62校。
「髪の色」を規制しているのが58校。
「下着(肌着など)の色」を規制しているのが57校。
「眉毛」を規制しているのが56校。

「下着は白」と決めている学校が目立ったという。
(下着の色については8割の学校で規制があった)
また、「頭の側面を刈り上げる」、「頭頂部を長めに残す(ツーブロック)」などは禁止としている学校が多かったという。
また、「校則違反したら教室に入れない」というものまである。

〈校則違反者への対応は?〉

校則違反者への対処(処罰)には、具体的な内容として以下のようなものがあった。

「整髪料は発見次第、洗髪させる」
「眉毛が生えそろうまで描くことがある」
「違反している下着を学校で脱がせる」(1校のみ)

〈生徒への聞き取り調査では?〉

弁護士会が行った生徒への聞き取り調査では、耳を疑う内容のものがあった。
教論から校則の理由として、「耳より下に後ろ髪を縛らなければいけないのは、『男子が女子のうなじを見て欲情するから』、「髪形やゴムの色を決めるのは『統一感をだすため』」などと告げられたという。

また、校則にはないのに、「おでこの産毛を剃ったら職員室前で1時間半立ったまま指導されて、泣いても指導が終わらない」という聞き取り結果もあった。
他にも、校則では髪を結ぶゴム色は茶色も許可されているはずなのに、「明るすぎる」と指導され、買い直した。

不登校の生徒が登校しても服装違反で学校に入れてもらえなかった。
生徒が理不尽だと訴えると「内申に響くぞ!」と言われる。
(「内申」は、高校受験に必要な成績表)
また、「正論を言っても逆に説教される」
などが聞き取り調査で明らかになっている。

《福岡市の教育委員会の弁明は?》

福岡市の教育委員会は、今回の弁護士会による調査結果を受けて、以下のようにコメントしている。

「校則について合理的でない理不尽なものは見直すよう各学校に通知している。人権侵害にあたる校則があれば、改善するよう指導していく」

はっ?? である!

《福岡県弁護士会の指摘》

福岡県弁護士会は、「髪を染めた部分を切る」「整髪料を付けたら髪を洗わせる」「校則違反の下着を学校で脱がせる」「校則違反したら教室に入れない」など、いずれも人権侵害だと指摘している。
福岡県弁護士会は来年(2021年)2月にシンポジウムを開催し、校則見直しに向けて提言する予定としている。

(情報は、『毎日新聞』等)

佐賀県弁護士会も、県内22校の公立中学校の校則を調査!

《佐賀県弁護士会も県内の公立中学校の校則の調査を実施》

なんと、佐賀県弁護士会も、福岡県弁護士会と同様に県内22の公立中学校に対して情報公開請求を行い、校則の調査を実施している。

《佐賀県弁護士会による調査結果》

弁護士会による明らかになった調査結果は以下のとおり。

〈佐賀県の公立中学校(22校)の校則違反は?〉

全体的に福岡県福岡市の中学校と同じ内容が多い。

『服装に関する校則』
「下着は白」
「靴下は白」
「中敷きも白」
「マフラーは禁止」
「制服に名札を縫い付ける」
「セーター、コート、マフラー、手袋の色は白・黒・紺・茶などの色に限定」
「コートは学校指定の物を着用」
「ダッフルコートやフード付きは不可」

『髪型や眉毛など身体的な校則』
「男子の髪形で左右非対称カットやツーブロック、頭頂部を立てるなどの髪型は禁止」
「眉毛を剃ってはならない」
「整髪料はつけてはいけない」
「髪を伸ばす場合は、耳より下で耳より後ろで結ぶか、三つ編みにする」
(二つ編みにすることを定めたり、三つ編み禁止のところもある)

『校外活動に関する校則』
「飲食店やゲームセンター、カラオケボックスなどへの立ち入りは禁止」
(保護者同伴でも認めないところもあった)
「校外に出るときは、原則として制服を着用する」

〈生徒への聞き取り調査では?〉

生徒への聞き取り調査で、同性の教員が襟元から下着の肩ひもを出させて色を確認している学校があることが分かっている。

《佐賀県弁護士会の指摘》

ボンタン(変形学生ズボン)や短ランなど、80年代の非行少年の格好を想定した規定がいまだに残っていたと、佐賀県弁護士会の東島浩幸弁護士は述べ、「校則を規定・変更する手続きに、子どもの意見を聞く仕組みを作り、校則の中に子どもの権利について書き込むべきです」と語った。

佐賀県弁護士会の提言では、「学校が子どもの行動を制約できるのは基本的に学校内に限られる。保護者が許可している行動まで校則で一方的に規律することはできないし、学校側の責任を過度に重いものとするので妥当ではない」としている。

(情報は、『gooニュース』など)

日本全国の学校にもの申す!

《なぜこうした不当、不合理な校則がまかり通るのか?》

この問題を語ろうとすれば、語り尽くせないほどの内容です。
ですから、論点をあまり広げずに語るとすると、そこに中学生(中学校)という視点がある。
小学校から中学校に進学すると、「どうして中学校では校則がうるさいのか?」「小学校と比べると中学校の教師は生徒を縛りつけようとするのか?」という点があげられます。

それは生徒側の問題を取り上げると、小学生と違い「思春期に入り難しい問題を抱えている」ことと「反抗期である」ことです。
実の親でもこの時期は手を焼く年代なのです。

小学生の頃は親の言うことを素直に聞いていたのに、中学生となると、「生意気になる」「親の言うことを聞かなくなる」「親に秘密を持ちたがる」など、親も子育てに悩み苦労する時期なのです。
そこで親は教師による教育に頼るようになっているのです。
(もちろん、そうでない親もたくさんいる)

それと教師をしている人たちは学校以外の社会経験がなく、社会の常識とかけ離れた感覚を持ったまま子どもの教育にあたっている人が非常に多いのが実状です。

また、PTAは学校の御用聞きとなり果てていて、本来の使命である学校側から子どもたちを守る、という機能を果たしていません。
アチキもPTAの経験がありますが、PTAの存在と活動に大いに疑問を持ちました。
アチキの実感からすると「PTAは必要ない」「PTAという組織がなくても学校は運営できる」でした。

《こうした校則の何が「人権侵害」なのか?》

一つ一つの校則について語りたいところなのですが、長々となってしまうので短めに語ります。

生徒の「服装」「髪型などに関すること」「下着に関すること」などは教師がとやかくいうべきことではありません。
ましてや校外に関する校則など基本的に存在することが許されないものです。
ただし、制服に関しては、生徒は守る義務があります。

現代の学校の規則には、学校運営に支障をきたすものと、生徒に有無を言わさず教師の指示に従わせるためのものとが混在しています。

教師の言うことを聞かせるために家畜のように強制している不合理な校則は排除するべきです。
髪型や持ち物、下着などは生徒の自由であり、生徒の個性を尊重するべきです。

《学校制度の問題点》

学校は誰のために存在するのか?
学校における教育とはなんなのか?
という基本命題が現代の学校教育では大きくずれているのです。

昭和の時代の教育理念や方法をいまだに守り続けている教師は時代遅れであり、教育者としての資質に欠けています。
近代国家へ成長していく途中の時代や戦後の復興期の工場作業員を大量に社会に送り出すことが求められた時代はとうに過ぎています。
集団生活をするために校則を定めているといっても、生徒には自由が憲法で保障されたひとりの人間であるということが忘れ去られています。

日本は表面上、民主主義国家を標榜していますが、以外と社会主義の国家です。
その社会主義の一場面が学校という場です

生徒を唯一無二の個性を持った一人の人間として見る価値観が欠落し、集団の秩序と学校運営における教師の権限を強化した結果が現代の「校則の問題」となっています。

これからの学校制度には、生徒の自由と個性を尊重し、生徒に自治権を与える教育が求められます。
教師たちには、さまざまな「学び」が求められます。
「現代社会を学ぶこと」「人間を学ぶこと」「教科書以外の知識、教養を身につけること」
それによって教師たちは知能と人格を向上させることができます。

毎年、同じ内容の授業を与えられた教科書に従って生徒に教えるというあり方では「聖職」とは呼べません。
経験を積めば積むほど、年齢が上がれば上がるほど、知識も人格も磨かれていくのが教師でなければなりません。
それでこそ「聖職者」と言えるのです。
お仕着せの管理、有無を言わさぬ権力を振りかざすだけでは「聖職者」とは言えません。

教師側が成長してこそ、生徒を成長させることができる。
教師たちが正しい倫理を持っているから、生徒に倫理観を教育できる。
そうしたことを忘れてはいけないのです。

教師たちにのみ都合のいい校則や生徒の自由と個性を奪う校則はあってはなりません。
それは行き過ぎた管理のあり方です。
福岡市と佐賀県で行われている校則の問題は、「パワハラ」「セクハラ」以外の何ものでもありません。
おそらくこうした不当・不合理な校則は全国的に存在するでしょう。
ここで行われていることは、学校以外の場所ではすでに大問題となっていることです。

なのに、学校ではなぜ許されるのでしょうか?
なぜ学校では不合理な校則が見逃されるのでしょうか?

『福岡県及び佐賀県の中学校の校則を調査した弁護士会によって明らかにされた生徒への人権侵害【後編】 ~学校制度の改革を提言する~』に続く。

最後までお読みくださり、ありがとうござりんした。


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