『JR東日本宇都宮線の暴行事件における正当防衛を考える! ~JR東日本宇都宮線の男子高校生の勇気ある行動にエールを送る!!~』

はじめに

憤慨する事件が起きたので取り上げます。
こうした事件が起きた時、事件の教訓と対策を考え、被害への自衛と社会の改善化につなげる必要があると思います。

喫煙注意されて暴行して正当防衛? 

《事件の詳細》

2022年1月23日、JR宇都宮線の列車内や自治医大駅のホームで乗客の男子高校生(17)に殴る蹴るなどの暴行を加え、顔の骨を折る大けがを負わせた傷害容疑で宇都宮市の飲食店従業員(ホストクラブ)宮本一馬(28)を栃木県下野署が逮捕した(24日)。
25日、宇都宮検察庁と地裁支部に送検された。

事件が起きたきっかけは、宮本容疑者が電車内で座席にふんぞり返って座り、禁止されている喫煙(加熱式タバコ)をしていたことを乗車してきた男子高校生が喫煙を止めるよう注意したことが発端。

被害者の男子高校生は「やめてもらえますか」と注意した。
それに対して宮本容疑者は、逆上し、男子高校生に詰め寄り、土下座をさせて暴行を加えた。
列車が自治医大駅で停止した後も駅構内で男子高校生に暴行を続け、駅員や友人3人(高校生)、及び宮本容疑者の同僚の制止を無視して暴行を続けた。
警察官に引き渡される直前に列車で逃走した。

《被害者が注意した理由》

男子高校生には喘息の持病があった。
そのために受動喫煙をさけたいと思い電車内の喫煙を注意した。

《容疑者の言い分》

宮本一馬容疑者は、「暴行は間違いない」と認めつつ「始めに相手が喧嘩を売ってきたので正当防衛だ」と主張している。
(相手が喧嘩を売ってきたのでやり返しただけという主張)

(情報源は、『読売新聞』『Yahoo‼ニュース』『NHK NEWS WEB』及びテレビニュースなど)

正当防衛とは?

《正当防衛とは?》

まず、宮本容疑者の主張する「正当防衛」が成立するかを検証する。
(本当は、検証するまでもないのだが)

『刑法第三十六条第一項』
「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」
=「正当防衛は急迫不正の侵害に対するものでなければならない」

正当防衛とは、本質的に私人による直接的反撃行為にあたります。

正当防衛が成立するためには以下の要件を満たす必要があります。

以下ウィキペディアから引用

1.「急迫」
急迫とは、法益の侵害が切迫していることをいい、過去の法益侵害や将来の法益侵害に対しては正当防衛は成立しない。
侵害を契機として相手方に積極的に加害行為を行う意思(積極的加害意思)を有するときは侵害の急迫性の要件は否定される

2.「不正」
不正とは、違法であることをいう。
客観性違法論によると、責任無能力者の行為に対する正当防衛や故意のない行為に対する正当防衛も成立する

★「侵害」
侵害とは、権利に対する実害や危険があることをいう。
侵害にあたる行為は作為か不作為かを問わない

《正当防衛が成り立つ要件》

『刑法第三十六条第一項』にある「急迫不正の侵害」という言葉には「急迫性の侵害」「不正性の侵害」という2つの定義から成り立っています。

「急迫性」は、現実にいま侵害行為が起きている。または侵害行為の危険が間近に迫っていることです。
ですから、現在進行形で発生している、またはいままさに発生しようとしている侵害にたいするものであって、過去や未来に対するものであってはならない、ということです。

「不正性」は、違法性があることです。
これには規約違反も含まれると考えられます。

「侵害」は、自分や他人の権利(法律で保護されるべき)である生命、身体の自由、財産などが奪われること、または奪われようとしていることです。

注意点は、「やむを得ずした行為」であることです。
たとえ防衛のためであっても必要最低限の行為でなければなりません。
つまり、不必要な行為は過剰行為とみなされる、ということです。

(情報源は、『ウィキペディア』)

世直しご意見番の見解

《JR東日本のトラブル発生時の対処方法とは?》

JR東日本では、こうしたトラブル発生時の対処(行動)として以下の様な方法を推奨している。

「迷惑・犯罪行為を見かけた場合、あるいは受けた場合には、本人に直接注意(抗議)することなくSOSボタンを押して乗務員に知らせてください」

〈補足説明〉

JR東日本では全車両にSOSボタンが設置されている。
SOSボタンを押すことで乗務員と話すことが可能となり通報(状況を伝える)することが出来る(マイク付きの場合)。

ただし、SOSボタンを押すと電車は緊急停止する

《JR東日本の対処方法の問題点とは?》

今回の事件で論点とするべきことがあります。
座席でタバコを吸って数席分を一人で占領しているだけの乗客を他の乗客が目撃した場合、その行為を注意して暴行事件に発展してしまわないようにと考え、SOSボタンを押して通報することができるのかどうか? ということ。
また、列車内で暴行事件が起きたとして、SOSボタンを押して通報することを第三者が行うことができるのか?
ということに帰結する。

現実には、第三者または被害者の関係者であってもSOSボタンを押して乗務員に知らせるということは、越えられない壁でしかない。
なぜなら以下の心理が通報(SOSボタンを押すこと)に対して抑止する力となってしまうからだ。

「電車を止めてしまうほどの事件なのか」
「電車を止めたら責任が問われるのでは?」
「電車を止めた責任を問われ、賠償を求められたらどうしようか?」
「通報したら事件に巻き込まれるのでは?」
「事件と関わったら加害者にうらまれるのでは?」
「通報してもすぐに乗務員が来てくれるだろうか?」
「果たして乗務員が解決できるのだろうか?」

という心理が働くのが必然といえる。
よって、今回の事件のような状況でSOSボタンを押して通報するというJR東日本の言い分は、単なる「そういう時の対処方法はありますよ」という言い訳でしかない。
つまり、企業としての責任を問われないための言い分でしかない。
現実の解決機能が働かない。

もちろん、電車内での乗客同士のトラブル自体にはJR東日本に責任は無い。
だが、電車内でトラブルが発生したときに、有効な対処方法、自衛手段が用意されているかどうかにはJR東日本に責任が問われる。
上記のSOSボタンを押したらどうなるのかという通報者の心理を乗り越える“何か”がなければSOSボタンを押す人は皆無だろう。
結論を言うと、今回の様な暴行事件や痴漢事件などにおいて列車を止めてしまうSOSボタンは“ほぼ無意味”である。
おそらく刃物を持った人物が暴れているなどのケースでなければ、SOSボタンを押すことはないと思われる。
SOSボタンのようなシステムは、通報する側に「安心と安全」が完全に保障されていると思わない限り利用されることはない。
システムの問題、乗務員の対処の問題が乗客に理解され、なおかつそこに信頼があって初めて利用されるものでしかない。
この点、JR東日本などの鉄道会社はこうした事件を防ぐ責任と乗り合わせた乗客に安心安全を与える責任があると考える。
検討を願う!

《加害者の言い分に反論及び抗議する!》

宮本容疑者は「正当防衛」を主張していますが、ご意見番は「正当防衛など絶対に認められない」と考えます。

まず一つ目に宮本容疑者の行為に「必要性」と「急迫性」があるかどうかです。
電車内での喫煙を注意され逆切れして男子高校生に急接近し威嚇しておいて、それに対して高校生が手を伸ばして突き放そうとしたことに対して暴行行為にでる必要性はまったくありません。
また、手を伸ばして突き放されたことは生命や身体に対する危険性の急迫には当たりません。
要するに、それがケガなどに直結するようなものではないと常識的に判断されます。

威嚇、恫喝に対して拒否反応をした男子高校生の行為こそ正当防衛です。

結局、男子高校生の行為のほうがむしろ正当防衛と呼べるものであって、宮本容疑者の行為こそ無法で理由なき不法行為(報復行為)です。
正当防衛など認められないし、認めてはいけません。
要するに宮本容疑者の報復行為は不法行為であり、正当防衛は成立しない、ということです。

《そこにあるものはなにか?》

宮本容疑者の行動に何があるのでしょうか?
それは、犯罪者特有の考え方と行動です。
典型的な極悪人の特徴です。

極悪人はなぜ極悪なのかといえば、自分が罪を犯してもその罪を認めようとしないからです。

人間は過ちを犯す生き物ですが、過ちを過ちとして認めればこそ更生もあります。
被害者も謝罪を受け入れることができます。
しかし、第一原因が宮本容疑者にあるにも関わらず、それを棚に上げて、喫煙を止めるように注意した男子高校生の方が悪いと決めつけて相手を悪者に祭り上げてしまう人間が存在しています。
実に情けないことに、宮本容疑者のように自分の非を認めずに相手を悪者にしたてあげて、言い逃れをする極悪人が存在しています。

こうした人間には断固たる罪の糾弾あるのみです!
証拠を突きつけ、罪を認めさせ、犯した罪の重さの分だけの罰を与える必要があります。
そのためにも世論が重要な役割を果たすべきだと思います。

社会正義は武士道精神を取り戻すことから始まる!

《東京新聞の社説》

東京新聞の社説『筆洗』(1月26日)に以下の文言がありましたので、抜粋引用します。

「高校生を助ける老侍は残念ながら現れなかったが、それを責める気にもなれぬ」
「くやしいが、正しい行動が正しい結果につながらぬほど、世の中にはたくさんのクマがのしのしと歩いているのも事実だろう」

〈補足説明〉

傍若無人な人間は話が通用しないという意味で「クマ」と表現している。
つまり、人間としての対話が出来ずに、しかも襲い掛かる危険性を持った者は「クマ」のような獰猛な存在だということ。

《社会にのさばるクマの存在》

宮本容疑者のような社会のルールを守らず、無責任なおかつ自分勝手で罪の意識さえ持つことのない極悪人があちらこちらにいます。
自分が悪いことをしても、それを指摘(批判)されても、反省するどころか相手を恨み、憎しみ、報復(攻撃)する人間があちらにもこちらにもいます。
これは恐ろしいことです。
傍若無人に振舞うクマが街を闊歩していたら、街中に安心して出ることなど出来ません。

《社会正義は武士道精神が必要》

こうした事件を生み出さないために必要なことは、何でしょうか?
システム的なもの、法の整備も必要だと思いますが、もっと根源的なことがあると思うのです。
それが「武士道精神を蘇らせる」ことです。

確かに傍若無人に振舞う宮本容疑者の様な人間に誰もが注意したり抗議したりすることは非常に難しいでしょう。
報復を恐れるのが人間の心理だからです。
めんどくさいことを避けようとする心理が働くからです。
怖いからです。
自分とは関係ないと思うからです。

しかし、見て見ぬフリをする行動パターンは“冷たい社会”です。
「義を見てせざるは勇無きなり」という言葉があるように、弱き者が虐げられていたら、正当な者が被害を受けていたら、たとえ赤の他人であっても手を差し伸べる、一声かける、自分にできるなにかをする、そうしたことが“温かい社会”ではないでしょうか。

「自分が出来ることを探して、それをする」
その根源にあるものは(心の作用)、「悪を放置しない」「悪は許さない」「弱いものイジメは認めない」「不正を見逃さない」「正しきことを守る」「正しさを立てる」という“愛と正義”の心です。
それは「武士道精神」と言えます。

社会から正義が廃れれば廃れるほど、悪は増殖します。
社会に正義が広がれば拡がるほど、悪は衰退します。

見て見ぬフリをせず、周りにいる人が「自分ができること」をする。
被害者を守るために立ち上がって一致団結する。
そうしたことが安心して住める社会、心温まる社会を実現すると信じています。

勇気ある男子高校生にエールを送る!

年齢も上で不遜な態度を取る見も知らぬ不審な人間に注意することは勇気のいったことでしょう。
あなたは大けがをおってしまいました。
しかし、あなたの取った行動は社会に対し「正しさとはなにか」という命題を突きつけました。
たとえ戦闘術(喧嘩?)では負けたとしても、あなたは宮本容疑者に勝利したのです。
悪に屈せず立ち向ったあなたこそ勝者です!
勝ったのはあなたです!

世直しご意見番は、男子高校生の勇気ある行動にエールを送ります!!

いつまでもその勇気を心に!
これからも正義を心に!

最後までお読みいただき、ありがとうござりんした!


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