北海道放送が制作した「ヤジと民主主義~小さな自由が排除された先に」という番組に敬意を表して、この記事を書きます。
北海道放送の勇気と気概に、あっぱれ!
この記事は「自由と民主主義」、「正義」を愛する人には憤怒する内容ですのでご注意ください!
今回の内容は「ヤジ」が題材なので、随所にアチキの「ヤジ」を飛ばしておきました。
あしからず!
(アチキのヤジは括弧の部分です)
【排除されたヤジ(抗議活動)】
昨年、日本の地方都市で警察官による「ヤジ排除」が行われました。
これがどんな意味を持つのか、こうしたことが正しいのか、こうしたことの先に何がまっているのかを考えたいと思います。
《札幌駅前のヤジ排除1》
2019年7月15日、JR札幌駅前におよそ1200人の聴衆が集まりました。
その手には「安倍総理を支持します」と書かれたプラカードが抱えられています。
参議院選挙で安倍総理が自民党候補を応援するための演説に支持者たちが駆けつけたのです。
そこに「帰れ!」と大きな声が響きます。
安倍総理の演説開始から1分後のことです。
安倍総理から20メートルほど離れた場所で、一人の男性が声を上げたのです。
声を上げた男性は警備に当たっていた警察官たちにたちまち取り押さえられ、安倍総理から引き離されていきます。
男性は抵抗の声を発します。
「やめろ、これが民主主義か」
「暴力で追放するのか」
警察は、男性(大杉雅栄さん)が声を上げた直後に、理由を告げずにつれ出しました。
それでも男性は「安倍やめろ!」と連呼します。
「抗議だよ」と男性は主張しますが、警察官たちは一切耳を貸そうとしません。
ただ、声を上げただけで警察に連れ出される。
大杉さんの友人がその様子を撮影していました。
大杉さんは、生活困窮者を支援する仕事をしています。
大杉さんは生活保護費を切り下げるなどを行う安倍政権に疑問を感じていたのです。
警察官は大杉さんにこう言います。
「あっち側行かないで欲しいな~」
それに対して大杉さんは強く抗議します。
「これ強制だったら問題ですよね!」
それには警察官も反論できません。
(反論できるもんならしてみろってんだ)
大杉さんは警察官の隙をついて安倍総理の方に向かって駆けだします。
「他の人もいるから」そういって警察官はまたしても強制的に大杉さんを排除します。
友人が撮影した映像からは21人の警察官が大杉さんを取り囲んでいることが分かります。
大杉さんは警察官に抗議します。
「違法行為じゃないでしょう!」
警官
「まわりに迷惑をかけていますから」
大杉さん
「国会だってヤジを飛ばす権利がある。国会のレベルで言論の自由が認められている」
警官
「聞いている人もいるわけだし」
(だからなんだ?)
大杉さん
「迷惑罪という罪でもあるんですか? ないですよね?」
警察は安倍総理の演説を聞いている人の権利を主張したのです。
大杉さんはそれに対してこう反論します。
「僕が声を上げる、主張する、その権利を守りつつ、あなたたちの職務をまっとうすればいいじゃない」
(その通り、ヤジを邪魔するな)
警官
「危ないことをするなら事前に私たちは止めないといけない」
(なにが危ないのか?)
大杉さん
「それを言ったらなんでもありじゃない」
警官
「だってする可能性があるでしょう?」
(墓穴を掘ったな。「可能性がある」つまり大杉さんんは犯罪行為をまだしていないということだ)
大杉さん
「この国はさ~、人間が権力者に対して、個人が権力者に対してものを言うことを警察権力で規制するのか?」
警官
「違う、違う」
と慌てて否定する。
(強制的に拘束してるじゃね~か。都合が悪くなると誤魔化す。それじゃ警察じゃなくて詐欺師じゃね~のか?)
大杉さんと友人は警官とすったもんだした末に演説会場から離れますが、なぜか警察官たちは大杉さんの後をついてきます。
(警察によるストーカー行為だな!)
大杉さんたちは札幌駅から500メートル離れた時計台のあたりでようやく警察官たちから逃れることができました。
(べらぼうめ~!)
《札幌駅前のヤジ排除2》
大杉さんが警察官に排除された5分後に別の場所でも女性が声を上げていました。
当時札幌の大学に通っていた女性です。
アルバイトで生活費を賄い生活をしています。
その女性は、黙っていてはいまの政治に賛成しているのと同じ、そう考えたといいます。
この女性があげた声は、
「増税反対」
「増税反対、消費税増税反対です」
「自民党反対です」
というもの。
女性が声を上げた直後、複数の警察官に取り囲まれます。
複数の警察官が女性の身体を掴んだりして強制的にその場から連れ出しました。
女性が自身のスマートフォンで撮影した映像には、女性警察官2人が彼女の両脇で腕を掴んでいる様子が撮影されていました。
女性が演説会場から離れても警察官たちは離れようとしません。
女性と警察官の会話
女性警察官
「そんな悪いようにはしないよ」
女性
「どうしろっていうの、わたしに?」
女性警察官
「さっき約束してって言ったじゃん。声を上げないでくれよって」
(勝手なこと抜かすんじゃね~よ!)
女性
「大声出すのにも許可がいるの?」
女性警察官
「いらないよ」
「法律に引っ掛かっているとかではなくて・・・」
「取り押さえたのではなくて、やめよと言っている」
(法的根拠がない不法行為しているのは警察のほうじゃね~のか?)
女性
「取り押さえたじゃん。腕掴んでさ・・・」
安倍総理が次の演説会場に向かっても、警察官は女性の側を離れようとしませんでした。
警察官たちはおよそ1時間半にわたってつきまとったのです。
(はい、完全なるストーカー行為)
女性警察官
「ウィンウィンの関係になりたい」
「なにか飲む? 買うよ。お金あるから。ジュース買ってあげる」
「コーラですか? ジンジャーエールですか?」
「今日はもうあきらめて~。お願い、お願い、お願い!」
(警察官による民間人買収事件だな!)
このときの警察官とのやり取りを北海道放送のインタビューに女性はこう答えています。
「なれなれしく懐柔しようとしてくる。すごい見下している感じがする」
この日、札幌で排除された人は9人もいたことが北海道放送の取材で判明しています。
《プラカードを掲げようとして排除された女性》
札幌駅前の選挙応援が終わった安倍総理は、札幌駅から約800メートル離れた場所で、別の立候補者の応援演説に駆けつけました。
そこでも「排除」が起きていたのです。
女性(雅子さん)は1枚のプラカードを胸の前に抱えて抗議活動を行ないました。
「年金100年安心プランどうなった?」
「老後の生活費2000万円貯金できません」
というプラカードです。
北海道放送の映像では、プラカードを持つ女性にぴったりとくっついて一人の男性がたっています。
その姿はまるで一緒に抗議活動を行なっている仲間のようですが、実はそうではなく警察官なのです。
実は、年金生活する雅子さんは友人二人とともに演説を見に来ていたのです。
雅子さんたちがプラカードを掲げようとしたその瞬間に警察官に囲まれてしまったのです。
女性たちは歩道にいたにも関わらず警察官は、「道路にでたら危ない」と言って100メートルほど安倍総理から遠ざけたのです。
ちなみにこの警察官は私服警官です。
私服警官たちは女性を取り囲んで「危ないから、危ないから」と言って安倍総理のいる場所から遠ざけようとしたのです。
(なにが危ないんじゃ? あほか!)
演説会場では安倍総理を支持する人たちが掲げているプラカードと旗などがひしめいています。
「年金100年安心プランどうなった?」というプラカードを持った雅子さんは排除されたにも関わらず、「安倍総理を支持します」と書かれたプラカードを持つ安倍総理支持者や自民党関係者たちが警察に排除されることはありませんでした。
(プラカードを持っているだけで静かな抗議活動を排除するなんて、ナチか?)
たった一人の安倍政権を批判する(抗議)プラカードを持つ人は排除され、安倍政権を支持する人たちはプラカードを掲げて沿道を埋め尽くしても、警察に排除されることもない。
年金問題のプラカードを持って抗議活動をした女性は、北海道放送のインタビューにこう答えています。
「ヤジってもいませんし、無言でプラカードを掲げるというのは誰にでもある権利」
「弱者ができる唯一の一人でできることですよね」
「こんなことも声がだせないなんて怖いですよね。民主主義じゃないですよね」
雅子さんがプラカードを掲げて抗議した理由は、年金や医療に不安を抱える思いを伝えたかったからなのです。
実は雅子さんはガンになり手術をしていました。
再発してデモを行った次の日から治療を再開することになっていました。
雅子さんは、「これで自分の意見をはっきりみんなに伝えたりできることが今日が最後かもしれないという気持ちもあって・・・」と語りました。
《大宮駅前のヤジ排除》
慶応義塾大学に通うある男性が、大宮駅前で行われた埼玉県知事選挙の応援演説を見に行った時のことです。
埼玉県大宮駅前で「ヤジ」を飛ばした大学生が警察官に排除されたのです。
(2019年8月埼玉県知事選挙で柴山昌彦文科相(当時)が応援演説に来たときのこと)
大学生の言い分(プラカードの内容)は、
「英語民間試験、国語記述式、即時撤廃!!」
「柴山は辞任せよ!!」
「若者の声を聞け!!」
という主張です。
このプラカードを掲げてヤジを飛ばしたそのときです。
複数の警察官が大学生を排除する行動を取ったのです。
大学生の男性は、警察官にズボンを掴まれたときにベルトを引っ張られました。
強く引っ張られたため、ベルトが切れて(ちぎれて)しまったのです。
(ベルトは革製なのでそう簡単にはきれないはずですが・・・)
警察官の言い分は、大学生が歩道から垣根を乗り越えようとしたため、というものです。
(どこがじゃ!)
警察官に排除された大学生は抗議します。
「あなた方に何の権利があってやるんですか?」
警察官
「道路に飛び出そうとしたあなたを止めた」
大学生
「僕は芝生の上にあがろうとしたんです」
警察官
「芝生? 危険じゃないですか?」
(どこが?)
大学生
「じゃ止めます。どこかに行ってください」
警察官
「あなたがどこかに行けばわれわれもどこかに行きます」
(逆だろう! なめてんのか?)
一般市民には「ヤジを飛ばす自由」はないのでしょうか?
ならば、国会の場で、ヤジを飛ばす野党議員も議場から排除されなければならないのではないでしょうか?
【安倍総理を指示する人たちの声】
《札幌駅前で演説を聞いていた人の反論》
札幌駅前で安倍総理の演説を聞いていた自民党の藤沢澄雄北海道議会議員は北海道放送の取材にこう述べています。
「ヤジ飛ばさなくても聞くことはできるんであり、同じ自己主張するのでも、やり方っていろいろあって、そこは(ヤジ)行き過ぎだな、と思います」
「そういう意味では、警察がある程度制御してくれたのは、全体としては誰も違和感を持つ人はいなかったんでしょうね」
(ま~都合のいい話だな)
選挙でのヤジは妨害になるのか?
【ヤジを飛ばすことは公職選挙法違反なのか?】
選挙でのヤジは妨害(違反)になるのか?
1948年、最高裁の判決では、「聴衆がこれを聴き取ることを不可能又は困難ならしめる所為は演説の妨害」としています。
この判例からすると、札幌駅前や大宮駅前での“ヤジ”は常識的に見て、「聴衆が聴き取ることが不可能又は困難」とは言えません。
ヤジをとばしていたのは1人だからです。
これが集団でヤジを飛ばす、または拡声器を使ってのヤジであれば別ですが、たった一人だけがヤジを飛ばしているだけでは、演説を聴き取ることはできたはずです。
《日本大学岩井奉信教授の見解》
日本大学岩井奉信教授は、選挙妨害の要件として2つ挙げています。
一つは組織的であること。
それから演説ができないような状況である。(一般的には拡声器を使って多くの人数がヤジや妨害をするのが選挙妨害と位置づけられている。)
岩井奉信教授は北海道放送のインタビューにこう答えています。
「今回の場合はひとりが声を上げているだけなので組織的とは言えない。選挙妨害には当たらない」
「警察が多くの人数を繰り出して実力行使に及んでいるところを見ると、やり過ぎ感が強く感じられる」
と述べています。
《北海道警察警備部の見解》
北海道警察警備部は、北海道放送の取材に対してこう返答しました。
「周りで演説を聞いている人とのトラブルや犯罪を未然に防止するための措置を取った」
『警察官職務執行法第5条(犯罪の予防及び制止)』
「警察官は犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは予防のため必要な警告を発し、急を要する場合は、その行為を制止することができる」
《元北海道警察の原田宏二氏の意見》
元北海道警察で『警察捜査の正体』などの著書を持つ原田宏二氏は、北海道放送のインタビューにこう答えています。
(原田宏二氏は警察署長を歴任し、刑事二課長として選挙違反を取り締まった経験を持つ人です)
北海道放送が用意した札幌駅前のヤジ騒動の映像を見ながら、
「これは完全に自由を拘束している。手を掴んでいる。事実上逮捕じゃないの」
「犯罪行為ではないものを警察官は制止している。まったく違法でしょ」
と述べ、自身の経験(警察官としての)から、このヤジ排除が組織的な指示があったのではないかと推察しています。
「現場のとっさの判断なんて絶対にあり得ない」
原田宏二氏さんは、「絶対に」と強調して述べています。
また、原田宏二氏はこうしたヤジ排除について自身の見解を北海道放送にこう示しました。
「もともと警察組織の中に治安維持のためであれば多少のやり過ぎとか違法なことも許されるんじゃないかという風潮がある」
結局、原田宏二氏の見解によれば、「警察によるヤジの排除は違法である」ということです。
《北海道放送が警備に対する情報公開請求を行った》
こうした専門家の意見を受けて、北海道放送は北海道警察に対して警備に関する情報公開請求を行いました。
(あっぱれ! 実にあっぱれ!)
しかし、開示された文書は黒く塗りつぶされた状態でした。
(意味ね~! 悪質な隠蔽だな!)
わずかに塗りつぶされていない部分を読み解くと、警察庁警備局長から各都道府県警本部長にあたられた通達には留意点としてこう書かれていました。
「警察の政治的中立性に疑念を抱かれることのないよう十分配意すること」
(ちっとも配慮してね~じゃね~か!)
札幌駅前のヤジ騒動にて、この政治的中立性は守られていないとしかいえません。
【北海道警察に対して市民が抗議活動を起こした】
北海道警察のヤジ排除から1ヶ月後の2019年8月、北海道警察の不当なヤジ排除に怒った市民たちが抗議活動を行いました。
「ヤジも言えないこんな世の中じゃ・・・」
「ヤジの強制排除は違法!」
ヤジを排除する法的根拠はなんなのか?
北海道警察に説明を求めておよそ150人が横断幕やプラカードを掲げて札幌の街をデモ行進して訴えました。
しかし、驚くことがあります。
この市民の警察への抗議活動(デモ)の様子を警察車両の上から録画しているのです。
(なんとま~あきれた!)
これに対して弁護士が中止を求めました。
すると、
警察官は
「正当職務行為です」
弁護士
「その法的根拠を教えてください」
警察官
「それしか言えません」
(はっ、言えね~んじゃね~か!)
犯罪が行われていないのに、警察官が市民を撮影する(無許可で)のは明らかに肖像権の侵害だと弁護士は抗議しました。
(パトカーに乗る警察官に対して弁護士がドア越しに抗議しています。)
弁護士
「なぜ、現行犯でもない、犯罪行為もなかったことが明らかな映像をあなたのところに残すんですか?」
警察官は即答できずに考え込みます。
そしてこう言いました。
「上の指示。適正だと思ってやっている」
警官はそう言い残して去っていきました。
(組織的関与を暴露したな!)
《東京の男性が刑事告発した》
警察による“ヤジ”排除は違法だとして、東京に住む一般の男性(大杉さん)が刑事告発(特別公務員職権濫用罪に該当)し、札幌地検による捜査が始まりました。
2019年9月、北海道議会にて、北海道警察のトップ山岸直人警察本部長が答弁に立ちました。
「本件に関する告発状が札幌地検に提出されており、その処理の状況を踏まえつつ事実確認を継続しているところであります。いずれにしましても警察の職務執行の中立性に疑念が抱かれたことを真摯に受け止め今後とも公平中正を旨として・・・。できるだけ早い時期に説明を行ってまいります」
と述べた。
(っていうか、下を向いて答弁書を読んだだけ)
このとき「逃げるな~」とヤジが飛んでいました。
このときヤジを飛ばしたのは大杉さんでした。
議長は「静粛に」と注意をします。
大杉さんは議場から連れ出されていきました。
山岸直人警察本部長は北海道議会で4回にわたって質問されたものの、同じ答弁を繰り返しました。
2019年12月、ヤジを排除した警察官7人を「特別公務員職権濫用罪」などで刑事告訴します。
また、北海道警察を所管する北海道に対し、国家賠償訴訟を起こしました。
刑事告訴した大杉さんは記者会見の場でこう主張しました。
「演説をしているところで異議を唱えたら、それは違法行為なんだ、じゃあ黙っておこうと、どんどんしゃべらなくなる、意見を言わなくなると思うんですよね」
「こういうことがあると僕だけの問題ではなくて、社会全体にとってもマイナスだし、言論の委縮を招く」
この大杉さんは、特定の政治団体には所属していないと言います。
正直、初めアチキは共産党の人かと思いましたが、そうではないようです。
大杉さんはソーシャルワーカーとして仕事や住居を失った人の相談にのり、生活保護などの申請を手助けしている方なのです。
大杉さんはソーシャルワーカーの現場で日々矛盾を感じていたのです。
「社会の中で弱い立場にいる人たちというか、ちょっと生活がままならない人たちがたくさんいて、そういう状況に対して、自民党の政治家たちがなにかを一生懸命してくれるという信頼がまったく持てないっていうのがあって・・・」
結局、市民(国民)が政治に意思表示するには2つしかないのです。
ひとつは「選挙(投票)」。
もうひとつが「ヤジやデモなどの意思表示」なのです。
最後までお読みいただき、ありがとうござりんした!